×

長友 逆境を原動力に「こういう時こそ本物を発揮できる」

[ 2014年6月20日 05:30 ]

ギリシャ戦を翌日に控え、リラックスした表情の長友(右)と大久保(AP)

W杯1次リーグC組 日本―ギリシャ

(6月19日 ナタル)
 ジメッとした湿気を含んだ風が身を包む。砂丘をイメージしたというナタルのドゥナス競技場。高温と多湿、さらに負ければ後がない状況。それでもDF長友は「(ギリシャの)ビデオを見ながら選手同士でも話しましたよ。悔いのない戦いをって。そういうメンタルで臨むのが楽しみ」と笑う。まるで逆境を楽しんでいるかのように。

 「俺らは挫折の方が多いメンバーがそろってる。五輪でもコンフェデでもそうだった。こういう時こそ、本物の力が発揮できると思う」

 雑草魂に火が付いた。長友、本田、岡崎、吉田、内田、森重…現在の主力の大半がそろった08年北京五輪は3戦全敗だった。昨年6月のコンフェデ杯も3戦全敗。だが、屈辱をバネにおのおのが欧州に飛び立ち、成長を遂げた。特に明大時代まで無名ながら今やインテル・ミラノでプレーする長友は「雑草魂」の象徴だ。武者震いが止まらない。

 取材エリアでは生中継していたスペイン―チリ戦に目を向けた。「チリが僕らの求めているものを示してくれてる」。王者相手に恐れず攻め続けて勝利を手にしたチリは、日本が目指すべき姿勢だった。コートジボワール戦はまるで逆。守勢に回され2失点はいずれも長友のサイドを起点とされた。気持ちを切り替え「腰が引けて守っても僕らのいいところは出ない。リスクを冒してでも前に出る」と言い放った。

 堅守速攻に定評があるギリシャだが、攻撃の起点のほとんどが右サイドバックのトロシディスだ。日本はコートジボワールの右サイドからの攻めに対応しきれなかっただけに、左サイドの復権なくして勝ち点3は見えてこない。もちろん、初戦に敗れたからといって自信に揺るぎはない。「1戦で(自信が)崩れてたら意味がない。サッカーなんて、人生なんて、そんなもんですよ」。長友にとって「逆境」の2文字は乗り越えるためにある。

続きを表示

この記事のフォト

2014年6月20日のニュース