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【オシムの序盤戦総括1】ポルトガルの自滅、心配なほど好調ドイツ

[ 2014年6月19日 06:19 ]

主審からレッドカードを受け退場となるポルトガル代表DFペペ(AP)

 W杯はH組を除いて28カ国が初戦を戦った。前回準優勝のオランダが王者スペインに大勝、ドイツもポルトガルに快勝するなどアグレッシブな試合が続いている。FIFA技術委員なども務めた元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(73)が16日のドイツ―ポルトガル戦を軸に序盤戦を総括した。

 W杯は今回も面白く見ている。しかし、もっと面白くてもいいのに、とも思う。大舞台の緊張感もあるのだろうが、伸び伸びとプレーできていない。過度の期待が重圧になっているのか。いまやサッカーはビジネスの一部で特にW杯は巨額マネーが動く国際見本市なのだ。国家代表という角度からは政治利用や民族主義などの要素も出てくる。選手や監督は大変だ。

 【ポルトガルの自滅】

 ポルトガルがドイツに0―4で敗れた。自滅だった。ブラジル出身のぺぺは故郷での試合で神経質になっていたのか。つまらないこと(退場)で試合を壊してしまった。

 気になるのはC・ロナウドの調子の悪さと、あえて彼を起用せざるを得ないポルトガルの台所事情の苦しさだ。C・ロナウドは欧州チャンピオンズリーグの決勝まで休みなくシーズンを戦い、体中に故障を抱えている。彼に頼るチームづくりの方針が裏目に出た。

 C・ロナウドを抑えたらOKというのでは対策を立てやすい。対照的なのはコートジボワールのドログバで日本戦では途中出場で雰囲気を変えた。エースの存在は頼もしいが、それに頼るだけではない「プランB」も持っておかねばならない。

 一方のドイツは、W杯が始まったばかりでこんなに調子を上げてもいいのかと心配になるほど好調だ。前回の南アフリカ大会で若返りを図ったが、今回は成熟しつつある。エジルを中心にし、サイドバックだったラームを中央の守備的MFに据えることで安定した。ゲッツェらの生きのいい若手が走り回る。かつての重戦車のようなドイツから、機動力のあるチームに変身している。ポルトガルの出来の悪さを差し引く必要があるが、広いブラジルでコンディションを崩さなければ、上位に進出してくるだろう。

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