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日本代表 ギリシャ戦へ 敗因を探すより「何ができたか」を見つめるべし

[ 2014年6月16日 16:48 ]

W杯1次リーグC組 日本1―2コートジボワール

(6月14日 レシフェ)
 勝敗を分けたターニングポイントは、「2点目」だった。日本は前半16分に先制した後、22分に内田が右サイドから切れ込んで決定的なチャンスを作ったが決められなかった。

 コートジボワールは後半19分に追いついて、2分後にジェルビーニョが決勝点を決めた。両チームとも決定機はそうはなかったが、大きな大会では「取れるときに取れるか」がポイントで、日本が2-0にしていたらコートジボワールは焦りが出て攻撃も雑になり、勝敗は違っていただろう。サッカーとはそういうものだ。

 失点は2点ともほぼ同じ形だった。センターバックはある程度付いていたし、問題は日本の左サイドからフリーで簡単に上げられたことだ。こういう大会ではフリーで上げられると中でマークしていてもやられてしまう。長友が攻め上がったあとのスペースは相手の狙い所でもあり、日本も分かっていた。後半10分ぐらいから日本のベンチも注意していただけに、残念だ。

 後半30分頃から大久保を左に回し、香川を真ん中にしたが、あれは大久保の2列目からの飛び出しだけでなく、高い守備力も買ってオーリエに当てて、コートジボワールの攻撃を封じるためだったと思う。

 コートジボワールはドログバを途中出場させた直後に2点取ったが、見事に攻撃のスイッチが入った。選手のギアが変わり、精神面も含めたドログバの存在感を見せつけた。日本もドログバを警戒するあまり、他の選手への注意が散漫になったところがあったかもしれない。

 日本はギリシャ戦へ向けて、敗因を探すよりも「何ができたか」を見つめた方がいい。短期決戦では時間も限られるために大きく何かを変えることは難しい。ポジティブに考えて、スローインから本田が決めた先制点とか、内田のカウンターとか、いい部分を強調した方がいい。

 精神的にも「できていることを繰り返す」と、いうほうがやりやすい。そして、おそらくメンバーはいじるだろうが、遠藤をもうひとつ前で使うのはどうか。Jリーグで時々やっているし、ボールがさばける。ギリシャに勝てばまだまだチャンスはあると思う。(元日本代表コーチ 小倉勉)

 ◆小倉勉(おぐら・つとむ)1966年(昭41)7月18日生まれ、大阪府出身の47歳。天理大卒業後に渡独し、ブレーメンのユースなどを指導。帰国後、92年から市原(現J2千葉)で育成部やトップチームのコーチ、強化スタッフなどを歴任した。06年からイビチャ・オシム監督、08年からは岡田武史監督の下で日本代表コーチを務め、10年W杯南アフリカ大会で16強入り。12年ロンドン五輪では関塚隆監督の下でコーチを務めて4強入りを支えた。五輪後の12年9月からJ1大宮でコーチ、テクニカルダイレクターを務め、13年8月から監督。14年からJ1甲府でヘッドコーチを務めている。

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2014年6月16日のニュース