×

バロテッリ弾でイタリアがイングランド撃破「未来の妻に贈る」

[ 2014年6月16日 05:30 ]

<イングランド・イタリア>ヘディングで勝ち越しゴールを決めるバロテッリ(右) (AP)

W杯1次リーグD組 イタリア2―1イングランド

(6月14日 マナウス)
 強豪対決はアズーリに軍配が上がった。大会3日目の14日(日本時間15日)、1次リーグD組のイタリアはイングランドを2―1で破り、W杯優勝経験がある3カ国がそろった“死の組”で白星スタートを切った。1―1の後半5分にFWマリオ・バロテッリ(23=ACミラン)が決勝のヘディング弾を決めた。技術に優れたMF陣が中盤を制圧。運動量でも相手を上回る完勝だった。

 過酷な消耗戦で決勝点を決めたのは驚異の身体能力を誇る悪童だった。1―1の同点で迎えた後半5分、右サイドのMFカンドレーバから上がったクロスを、逆サイドで待ち構えたバロテッリが打点の高いヘッドで強烈にネットへ突き刺した。

 「このゴールはスタンドにいた家族と友人、そして未来の妻に贈りたい」。大会開幕前の10日、ベルギー出身の恋人と婚約したことを発表したばかり。早速、最愛の婚約者に貴重な決勝点をささげることに成功した。

 大会前から懸念されていたアマゾンの入り口、マナウスでの一戦は確かに過酷だった。午後6時の開始時に気温30度、湿度60%。芝の色は緑に見えても試合が進むにつれて砂地が露出する。前半35分に先制点を挙げたマルキジオも「暑すぎて時々、幻覚に襲われた」と打ち明けたほどだった。

 その過酷な条件下だけに、圧倒的な個の力がものをいった。数々の騒動を起こしてきたバロテッリだが、その破壊力に疑いの余地はない。「初めてのW杯だから凄く興奮したよ。苦しんだけど勝つことが大事だ」と感慨に浸った。

 しかし、現在のイタリアが持つ武器は飛び道具だけではない。「カテナチオ(かんぬき)」と呼ばれる堅守に別れを告げるかのように、司令塔ピルロに率いられたテクニシャンたちが中盤を支配し、パスをつないで相手ゴールへと迫り続けた。そして勝ち越した後は伝統の守備力を発揮して1点を死守。「イングランドよりも技術的に優れた選手たちがいる。ピルロ、デロッシ、ベラッティを並べて中盤で数的有利をつくろうとして、実際に機能した」とプランデッリ監督も満足げに振り返った。

 “死の組”と呼ばれたD組は、この日のイングランド撃破とウルグアイの予想外の敗戦で一気にイタリア優位に傾いた。攻守両面で強さを見せるアズーリには、5度目の頂点を目指せるだけのポテンシャルがある。

 【悪童バロテッリ過去の騒動】
 ★謝罪 インテル・ミラノ在籍時の10年3月にモウリーニョ監督からプレーに関して注意されるなどして反発。ACミラン応援歌を歌ってチームメートをからかうなど傷口を広げてベンチ外が続き、公式サイトで謝罪。

 ★駐車違反 10年8月のマンチェスターC移籍後、9カ月間で1万1000ユーロ(当時約130万円)の罰金と27回のレッカー移動を受けた。愛車は警察からマークされていた。

 ★花火 11年10月に自宅浴室で友人と花火。タオルに引火して消防隊が出動した。後日、花火の安全キャンペーンに参加。

 ★ダーツ 11年3月にマンチェスターCのクラブ施設2階から屋外にいたユース選手の方向に「退屈だったから」とダーツを投げ、10万ポンド(当時約1200万円)の減給処分。

続きを表示

この記事のフォト

2014年6月16日のニュース