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ザックJ ピッチ外に危険な敵! 蚊、デモ、空港…

[ 2014年6月10日 05:30 ]

虫刺されのためか、練習中に腕を気するザッケローニ監督

 ザックジャパンにピッチ外の敵が現れた。W杯ブラジル大会に臨む日本代表は8日(日本時間9日)、ベースキャンプ地イトゥ近郊ソロカバでブラジル入り後初の練習を公開で行った。会場周辺ではW杯開催に反対する学生らが抗議デモを敢行。150人規模の警官が出動する騒ぎとなった。また、異常気象による高温化の影響もあって蚊が大量発生。選手にはデング熱対策として虫よけスプレーが義務付けられるなど、物々しい中での始動となった。

 練習会場の周辺が騒然となった。ブラジルでの日本代表の初練習を待ち受けていたのは、W杯開催に反対する過激なデモ隊だった。ポルトガル語で「FIFAは帰れ!」と書かれた横断幕を掲げ、拡声器で抗議行動。会場の半径100メートル付近には150人もの警官、警備員が並び、一般車両は周辺道路の通行が禁止に。練習会場が完全封鎖される異常事態となった。

 ブラジル各地で多発しているデモ。そのほとんどがW杯のスタジアム建設に巨額の公金を投じることに反対し、教育、福祉の充実を訴えている。8日は学生ら約20人が集まったが、看護師とみられる女性も含まれていた。昨年6月のコンフェデ杯では、ブラジリアの試合会場周辺でタイヤを燃やすなど暴徒化した1000人規模のデモ隊に遭遇。会場に向かう日本代表バスがう回させられた。だが、練習会場にまで現れたのは初めて。緊張感は一気に高まった。

 この日の練習はイトゥ近郊に場所を移し、サンパウロの日本人学校、地元の日本語学校の生徒ら約5400人を集め、公開で盛大に開催された。デモは練習前に終息したため、主将の長谷部は「すみません。(デモは)知らないです」と言葉少なだった。今後、デモの規模が大きくなった場合、練習時間の変更などを強いられることもあり得るだけに、思いもよらぬ敵の出現となった。
 
 想定外の事態は他にもある。現在、サンパウロは冬。例年の平均気温は20度前後だが、2日前から最高気温29度という異常気象となった。ブラジル国内で蚊を媒介としたデング熱が流行する中、蚊が大量発生した。遠藤は「刺されたらしようがない」と話すが、日本協会では選手全員に虫よけスプレーの使用を義務化。万一、デング熱を発症すれば1週間は高熱や頭痛が続く。対策に細心の注意を払っているものの、主力選手が発症するようなことになれば、試合に与える影響は計り知れない。

 練習前、ザッケローニ監督はピッチ中央で円陣をつくり、青空ミーティングを実施。国際Aマッチ5連勝中だが、慢心のないよう気を引き締めるため、ピッチ内の“テング対策”を行った。9日からは周辺から隔離されたイトゥのキャンプ地内で練習を再開する。デモ隊、デング熱――W杯は既に始まっている。迫り来る想定外の外敵とも戦いながら万全の準備を進める。

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