×

W杯日本女性監督初の快挙「高倉改革」1年で結実

[ 2014年4月6日 05:30 ]

トロフィーを掲げる高倉監督

U―17女子W杯・決勝 日本2―0スペイン

(4月4日 コスタリカ・サンホセ)
 勝利の瞬間、高倉麻子監督(45)はコーチ、スタッフと抱き合い、駆け寄る選手たちを笑顔で迎えた。世界一の歓喜に「小さななでしこたちが、緊張で震えていたけれども、堂々と戦ってくれて。本当にうれしい」と声を上ずらせた。

 試合前「今までやってきたことをグラウンドで出すこと、最後まで諦めずに戦い抜くこと」を厳命して送り出した。序盤の得点で主導権を握った。「全然楽じゃなかったけど、あの1点があったから苦しい時間を耐えられた」と息をついた。

 現役時代はLリーグ(現なでしこリーグ)でMVPを2度受賞し、代表でも司令塔で活躍。2度の世界選手権(現W杯)、96年アトランタ五輪にも出場したパイオニア的存在。8強で散った前回大会はコーチで経験し昨年から監督になった。

 「勝ち切る粘り強いチームにしたい」とパス主体の攻撃と組織的守備を植え付けた。大会を勝ち抜くため選手に複数のポジションをこなす能力を求めた。センターバックを担った大熊は本来FW。準決勝ベネズエラ戦で左サイドバック北川が負傷した際はDFではなくFW斎原を投入して、FW小林をサイドハーフに、MF宮川をサイドバックに回してしのいだ。

 年代別W杯で日本を率いた初の女性監督。「女性だからというわけでなく、一サッカー人として自分の持っているものを精いっぱい選手にぶつけた」。全てを注ぎ込んだチームが全勝戴冠。決勝では3試合ぶりに先発起用した西田、途中で投入した児野が得点。大会を通じ21人全員を出場させ、19人を先発させるなど選手起用も巧みだった。
 
 「大きな宝物をもらったけど、この先も続くので、どんどん上を目指してほしい」と選手たちにエールを送った。成果を挙げたことで将来的にA代表の監督候補にもなり得るが既にその名前は歴史に刻まれた。

 ◆高倉 麻子(たかくら・あさこ)1968年(昭43)4月19日、福島県生まれの45歳。10歳でサッカーを始め、85年読売ベレーザ(現日テレ)入りし松下電器バンビーナなどでプレー。Lリーグなど女子1部リーグ通算226試合出場44得点。83年に15歳で代表初選出。国際Aマッチ通算79試合29得点。04年引退。09年U―16女子代表コーチとなり、13年から同監督を務める。

続きを表示

2014年4月6日のニュース