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J初の八百長調査 スポーツ賭博で異常な賭け率も…結果は不正なし

[ 2014年3月19日 05:30 ]

8日の広島―川崎F戦では、試合終了間際にDF塩谷(中央)が決勝FKを決めて広島が逆転勝ちを飾った

 日本サッカー界でも八百長騒動が勃発していた!Jリーグの村井満チェアマン(54)は18日、日本サッカー協会が提携する調査機関のEWS社からスポーツ賭博市場で異常と見られるオッズの変動があったという報告を初めて受け、調査したと発表した。指摘を受けたのは8日の広島―川崎F戦(Eスタ)。両チームの全選手、スタッフ、審判らに事情聴取を行った結果、事実無根であることが証明されたが、浦和の差別的横断幕問題に続き、とんだ騒動となった。

 Jリーグが八百長騒動に巻き込まれた。世界450社以上のブックメーカー(賭け屋)と提携し、インターネットで行われるサッカー賭博の賭け率の異常変動などを監視するEWS社が、8日のJリーグ第2節において「不自然な動き」を検知。Jリーグは10日に同社からのリポートを受けた。問題の試合は広島―川崎F戦。Jリーグでは対策会議を開催するなど緊急対応に追われた。

 不自然な賭け率となったのは、ある海外のブックメーカーの「ハーフタイム・フルタイム」という前半終了時と試合終了時の結果を予想する賭け方。村井チェアマンによると、賭けの対象だった広島―川崎F戦で「前半終了時→川崎F、試合終了時→広島」に通常の10倍もの金額(約14万円相当)が賭けられ、それが賭博市場に波及。複数のブックメーカーで「小さな異常値」となったという。試合は川崎Fが1―0で折り返し、広島が2―1で逆転勝ちしたため疑惑の目が向けられた。

 EWS社からのリポートを受け、Jリーグは不正行為の有無、働きかけを見極めるために専門の弁護士らによる事情聴取を開始。4人の審判、両クラブの実行委員、強化責任者、監督、コーチ、ベンチ入りした全選手の約50人に1対1のヒアリングを敢行した。試合映像は日本協会の技術委員、審判委員が調査。別の監視会社からの意見も聞き、徹底調査を行った。

 結果は「シロ」だった。聴取では全員が不正行為を真っ向否定し、映像分析も異常はなかった。17日にはEWS社から「異常値は市場での噂によって惹起(じゃっき)されたもの。不正な関与はなし」とのメールが届き“無実”は証明された。村井チェアマンは一定の安ど感を見せながらも「もしも不正があれば、その選手は永久追放、クラブは存続しない」と断言。不正行為は断じて許さない強い姿勢を示し、20日には各クラブに経緯の報告と注意喚起をする。

 両クラブに聴取を開始したのは13日。その一方でJリーグは浦和の差別的横断幕問題を協議し、処分決定を発表した。舞台裏では“八百長問題”の調査が同時進行で進められていたことになる。1月に5代目チェアマンに就任した村井氏は予期せぬ騒動の連続に「今、サッカーの“神”に試されているのでは」と話していたという。創設22年目、W杯イヤーのJリーグは何とも波乱含みのスタートとなった。

 ▽EWS(アーリー・ウォーニング・システム) 国際サッカー連盟(FIFA)が100%出資したEWS社が運営。世界中のブックメーカーと提携し、賭け率の変動を監視し、賭博による試合操作の可能性を警告するシステム。不自然な動きを検知すると、その試合が行われているサッカー協会に「警告」が通知される。日本協会は11年から導入。

 ▽広島―川崎F・VTR 前半ロスタイムに川崎FのFW小林が先制ゴール。川崎Fが1―0でリードして前半を折り返した。後半12分に広島のFW佐藤が芸術的なボレーシュートを決めて1―1の同点に。引き分け目前の後半ロスタイムにはゴール前でのFKをDF塩谷が直接決め、広島が2―1と逆転して開幕2連勝を飾った。

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2014年3月19日のニュース