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浦和 無観客で経済損失3億円…村井チェアマンが断罪「放置は加担と同じ」

[ 2014年3月14日 06:29 ]

浦和に対する処分を発表するJリーグ村井チェアマン

 Jリーグの村井満チェアマン(54)は13日、都内のJFAハウスで緊急会見を開き、8日の浦和―鳥栖戦で浦和の一部サポーターが「JAPANESE ONLY」(日本人以外お断り)という差別的な横断幕を掲げた問題で、浦和にけん責と次の主催試合となる23日の清水戦(埼玉)を無観客試合とする処分を科した。無観客での公式戦はJリーグ史上初の厳罰となる。

 差別的な問題を繰り返した浦和に、Jリーグ史上初の厳罰が下された。無観客試合――。23日のホーム清水戦は無人の埼玉スタジアムで開催されることになった。村井チェアマンは「良心あるサポーター、選手、関係者、全てを裏切る形。二度と起こらないようにしたい」と話した。事態を収拾する特効薬はなく、再発防止に向けた強烈なメッセージと位置づけた。

 Jリーグが最も問題視したのは浦和の運営スタッフが差別的表現を含む横断幕の掲出を確認しながら、試合終了まで撤去できなかった点。差別表現に対する認識の甘さ、サポーターに対する姿勢、関係も指摘した。村井チェアマンは「放置したことは差別行為に加担したのと同じということ、と伝えた」と話した。

 国際サッカー連盟(FIFA)では昨年5月の総会で「反人種差別」を決議。世界的にも差別に対する目が厳しさを増す中、処分はFIFA規定に沿って決めた。中立地開催、勝ち点剥奪も考えられたが、中立地開催では「安全確保の確信が持てなかった」。勝ち点剥奪より「直接サポーターが影響を受ける無観客の方が全てのサポーターに伝わると考えた」(村井チェアマン)。さまざまなことを鑑み、無観客試合を決断した。

 浦和による差別的なトラブルは2度目。10年5月の仙台戦でも一部サポーターが相手選手に差別的な発言をするという問題を起こすなど累犯性も厳罰の要因となった。入場者、スポンサー収入など、無観客に伴う金銭的負担(3億円超)も当然、浦和が負う。万が一、同じようなトラブルが繰り返されれば「(下部への)降格、資格剥奪も視野にある」とさらなる厳罰を示唆した。

 最後に村井チェアマンは「悪意のない方々の楽しみを奪ってしまう。だがこの辺をあいまいにすると将来、より大きな楽しみを奪ってしまいかねない」と話し、差別問題とは断固戦う強い姿勢を打ち出した。Jリーグ史に汚点を残す無観客試合。それでも、差別のない誰もが安心して楽しめるリーグを目指すためには避けて通れない道だ。

 ▽Jリーグのクラブへの制裁 「無観客試合の開催」は1月のリーグ規約改正で新たに設けられた処分。制裁は9種類で、(1)けん責(2)制裁金(1件につき1億円以下)(3)中立地での試合開催(4)無観客試合の開催(5)試合の没収(6)勝ち点減(リーグ戦の勝ち点を1件につき15点を限度に減ずる)(7)出場権剥奪(カップ戦での違反行為に対し、次年度の出場権剥奪)(8)下位ディビジョンへの降格(9)除名(総会で4分の3以上の多数による議決を要する)と定められている。今回の制裁は、リーグ戦に限れば重い方から5番目となる。

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