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チーム引き締めへ 本田、報道陣に異例お願い「厳しめに書いて」

[ 2014年3月6日 05:35 ]

<日本・ニュージーランド>後半31分、本田がボレーシュートを打とうとするが、相手選手に押さえられ失敗

 厳しめに書いて――。サッカーの日本代表は5日、現在の国立競技場では最後の代表戦となるニュージーランドとの親善試合を4―2で制した。5月上旬に予定されるW杯メンバー発表前最後の一戦でMF本田圭佑(27=ACミラン)が2アシストするなど攻撃陣が奮闘。一方で守っては簡単に速攻を許して2失点と課題も残したW杯イヤー初戦となり、試合後には独演会を演じた本田がメディアに辛口報道を求める場面もあった。

 前半17分までに大量4得点。その一方で相手にも2得点を許した。トップ下でフル出場した試合後、本田は1月19日のセリエA・ベローナ戦以来の取材に応じた。「少しだけ」と前置きしながら口調は熱を帯びていき、テレビインタビューまで含めると約30分間の独演会。そして最後に報道陣に異例のお願いをした。

 「4年前くらいとは言わないけど、W杯までは厳しめに書いてほしいんですよね。期待した映画ががっかりしたこととかあるでしょ」。昨年8月の親善試合ウルグアイ戦後には「あまり(守備陣を)責めないでほしい」と言ったが、この夜は逆だった。キャプテンマークは同学年の長友が巻いたが、07年に代表入りした時からリーダーの自負はある。これも本田流のチーム引き締めだった。

 前半45分間は世界の強豪国のパフォーマンスだった。本田自身も2アシスト。圧巻だったのは17分だ。左サイドの香川からボールを受けると左のヒールでニュージーランド守備陣の背後に走り込んだ岡崎にパス。岡崎の2得点目を演出した。「(昨年10月に対戦した)ベラルーシのように前半引き分けなら、負ける相手と思っていた。そういう意識で(全員が)入ってきてくれて良かった」と精神面での成長に一定の評価を下した。

 だが「実際に(5点目を)取りにいこうとはしていたけど、どういうパスを出すかとかがまずかった」と無得点に終わった後半を反省。「カウンターを仕掛けてくる相手への対策。センタリングを上げられた時のね。その辺にフォーカスして一人一人が自覚しないといけない」とピンチを招いた守備の改善を求めた。「一人一人」と言っても単純に個別のパフォーマンスを指すのではなく、高いレベルの個々がチームとして機能できるか。かつては選手に「個の強さ」を求めた本田だったが、この日は「“個”は当たり前の領域。次のステップに入っていることを日本全体が受け止めていかないといけない」とチームとしての成長や進化に思いをにじませた。

 本田自身も歩みは止めない。ACミランでは右サイドやボランチで起用され、トップ下の地位をつかめていない。この日は久々の定位置に「僕はトップ下のDNAを持っている。家にいる感覚で居心地が良い」と訴えた。その一方で「心地悪さをいかにポジティブに変えられるか」とクラブでの役割にも前向きな姿勢を示した。「つまずきはあるけど、その反動も大きい」。イタリアの地元紙やサポーターの批判が自らの成長の糧になることを実感している。それは日本代表でのパフォーマンスにもフィードバックされると信じている。

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