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“世界最少”アイスランドが快進撃!W杯出場決定まであと1

[ 2013年11月19日 05:30 ]

クロアチア戦へ調整するアイスランド代表のグジョンセン

 14年W杯ブラジル大会の欧州予選プレーオフは19日にホーム&アウェー方式の第2戦が行われ、本大会に出場する4チームが決まる。初出場を目指すアイスランドは、第1戦で0―0で引き分けたクロアチアと敵地で対戦。W杯に出場すれば史上最少となる人口約32万人の小国が、初めてプレーオフに進出するまで躍進した理由に迫った。また、第1戦で敵地でウクライナに0―2で敗れたフランスは、ホームで逆転突破を狙う。

【欧州予選プレーオフ】

 米ニュースサイト・グローバルポストが「アイスランドがW杯出場間近…待てよ、サッカーチームがあったの?」と揶揄(やゆ)する快進撃。チェルシー、バルセロナなどで活躍したアイスランドの英雄、35歳のFWグジョンセンですら「ここまで来られるとは思わなかった」と明かす。

 人口32万人は世界176位。W杯予選は58年スウェーデン大会から参加しているが、本大会とは無縁で欧州選手権も出場なし。11年のW杯予選組み合わせ抽選時はFIFAランク121位で欧州E組の最下位だった。それでもW杯出場経験のあるノルウェー、スロベニアを上回り2位でプレーオフに初進出した。

 危機が躍進のきっかけだった。08年のリーマン・ショックをきっかけに経済が破綻。国内リーグ所属の外国人215人のうち65人が去るなど、高額選手は海外に渡った。そこでチャンスをつかんだのが国内の若手で、その一人が当時19歳のFWフィンボガソン。08年はオランダ人選手の控えで4試合1得点だったが、翌年は18試合13得点と活躍し若手MVPを獲得し、代表入りと海外移籍を実現させた。現代表で国内組は3人。約60人が海外でプレーし、レベルアップにつながっている。

 競技人口は2万人。世界に勝つため、同国協会は長期的な投資を行った。経済が好調だった00年代にフルサイズの人工芝ピッチが入る大型室内練習場を全国7カ所に建設。グジョンセンは「それ以前は寒さのため年間半年しかプレーできなかった。環境が整い若手育成につながった」と説明。そこで育ち、11年U―21欧州選手権にも出場した“黄金世代”24歳MFのG・シグルドソン、23歳FWシグトルソンは今予選でともに4得点するなど現代表の中心に成長した。

 11年には初の外国人指揮官ラーゲルベック監督を招へい。母国スウェーデンで2度、ナイジェリアで1度W杯本大会で指揮を執った65歳の名将についてグジョンセンは「若さと才能、経験と伝統的な(フィジカルの)強さを交ぜ合わせてくれた」と感謝する。19日のプレーオフ第2戦で敵地でクロアチアに勝つか1―1以上の引き分けで“史上最小国”のW杯出場が決定。英紙ガーディアンがいう「おとぎ話」がハッピーエンドを迎える。

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