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メキシコ W杯崖っ縁で“エース外し”決断!国内組のみでPOへ

[ 2013年11月12日 06:00 ]

W杯最終予選で不振を極めたメキシコ代表エースのFWエルナンデス

 W杯6大会連続出場を目指すメキシコが、崖っ縁に追い込まれている。北中米カリブ海最終予選で4位に終わり、大陸間プレーオフでニュージーランド(オセアニア予選1位)と13日にホーム、20日にアウェーで対戦。W杯5大会連続で1次リーグを突破している強豪が不振に陥った理由は?今年3度目の監督交代の末、10月に就任してW杯出場権獲得に挑むミゲル・エレーラ監督(45)の決断に迫る。

【W杯北中米カリブ海予選結果 大陸間プレーオフ】

 運命の大陸間プレーオフで指揮を任されたエレーラ新監督は、思い切った決断を下した。ニュージーランドをホームに迎える13日の第1戦に向けたメンバー23人を2日に発表。全選手を国内組で固めた。エースのFWエルナンデス(マンチェスターU)、司令塔のMFジョバニ・ドスサントス(ビジャレアル)ら欧州組を1人も選ばず「このチームは結束しており、欧州組が来ても大きな変化はない。大事なのは国内組の状態が計算できることだ」と説明。10月まで指揮した国内クラブの強豪アメリカから10選手を招集し、特長を熟知した教え子を中心にして確実に先勝を狙う作戦だ。

 “エース外し”は、W杯予選での不振の結果とも言える。エルナンデスは6月のコンフェデ杯・日本戦で2得点するなど同代表歴代3位の35得点を挙げているが、北中米カリブ海最終予選は10試合でわずか2得点。チームも10試合で7得点と得点力不足で低迷した“元凶”となった。米FOXスポーツ(電子版)は不振の原因を「クラブで出番が少ないため状態が悪い」と指摘。マンチェスターUのチームメート香川が今季序盤にクラブで出番が激減し、調子を落として日本代表戦に悪影響が出た構図と同じだ。

 選手や監督だけではなく、協会の責任も指摘されている。昨年のロンドン五輪をはじめ11年U―17W杯を制するなどメキシコは各年代別代表で躍進。一方でフル代表が波に乗れないのは頻繁な監督交代が一因で、06年にコンペアン協会会長が就任してから代表指揮官はエレーラ監督で実に10人目だ。特にW杯予選で窮地に陥った9月以降は3度の監督交代を行い、地元紙エル・シグロ・デ・トレオンは「代表が協会幹部の“おもちゃ”になっている」とコンペアン会長らを糾弾。2試合だけで解任されたブセティク前監督は「代表の状態は悪く、協会もバラバラ。わずか6回の練習でチームを立て直すのは不可能」と内情を暴露した。

 現在メキシコ以外でW杯5大会連続16強を継続しているのはブラジルとドイツだけ。それほどの実績を誇る北中米カリブ海の雄がW杯出場を逃せば、国内外の経済損失は6億5000万ドル(約644億円)に及ぶという試算もある。追い込まれた強豪が6大会連続W杯切符をつかめるか。サッカー界が注目している。

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