ブラジル３連覇！５戦４発ネイマールがＭＶＰ獲得

＜ブラジル・スペイン＞歓喜の輪をつくるブラジルイレブンの中央で、トロフィーに手を伸ばすネイマール

コンフェデ杯決勝 ブラジル３－０スペイン

（6月30日）
　新エースが王国を復活Ｖに導いた。３０日の決勝で、開催国ブラジルが３―０でＷ杯王者スペインに快勝し、３大会連続４度目の優勝。ＦＷネイマール（２１）が１ゴールを挙げるなど３得点を演出、大会４得点２アシストの活躍で大会最優秀選手に選ばれた。スペインは１０年から続いた公式戦の連続無敗記録が２９試合、１１年からの国際Ａマッチ連続無敗が２６試合でストップ。また、３位決定戦はイタリアが延長２―２からＰＫ戦３―２でウルグアイに競り勝った。
【コンフェデ杯動画 ブラジル代表メンバー】

　７万３０００人超の観客が「王者が帰ってきた」と合唱する中、ＭＶＰ男のネイマールが喜びを爆発させた。観客席前で自らボトルの水を浴びながら歓喜のダンス。表彰台ではトロフィーにキスをして高々と掲げた。

　「世界中にセレソンの価値を披露できた。足を止めることなく、世界一のチームを倒した。素晴らしい勝利だ」

　新エースは、決める男だ。１―０の前半４４分に勝負を決定づけた。左サイドでオフサイドの位置にいると気づくと、サイドステップで３歩後退。巧みにオフサイドをかわしてパスを受け左足を振り抜き、豪快な一撃を左上に突き刺した。前半２分にはフッキの右クロスを混戦でつないでフレッジの先制点を演出し、後半２分にはパスをスルーして相手ＤＦを引きつけ、フレッジの２点目を“アシスト”。後半２３分にはドリブルを止めにタックルしてきたピケを一発退場に追い込んだ。

　有言実行の男だ。「スペインを倒して優勝するのが夢」という言葉を見事達成した。大会前までは前所属サントスを含め公式戦９試合連続無得点。逆風が吹く中、あえて「自分につけさせてほしい」とペレ、ジーコら歴代の名手がつけた背番号１０を志願した。負ければ責任を背負い込む重圧の中で、大会４得点２アシストと全５試合で得点に絡む活躍で文句なしのＭＶＰを獲得。セレソンのエース背番にふさわしい力を結果で証明した。

　優しい男だ。試合後の会見に、大会直前に負傷離脱したＦＷレアンドロ・ダミアンのユニホームを着て現れ「彼も僕らと一緒に王者になった」と仲間を思いやった。汚職や公費無駄遣いに反発し、ブラジル全土に広がったデモについても、自身のフェイスブックで「より安全で、より健康で、より公正な国になってほしい」と支持を表明。「代表では家族のため、国のため戦っている」と苦しむ国民に優勝という最高の喜びを届けた。

　ネイマールの、ネイマールによる、ネイマールのための大会。ブラジルのスターが、一気に世界的スターへ駆け上がった。それでも２１歳は「落ち着いて、地に足を着けないと」と冷静。「来年、素晴らしいＷ杯になることを期待している」。今季からプレーする新天地バルセロナでさらに成長し、次は自国開催のＷ杯制覇を目指す。

　▽ネイマール（ネイマール・ダシウバ・サントス・ジュニオール）１９９２年２月５日、ブラジル・サンパウロ州出身の２１歳。１２歳でサントスの下部組織入り。０９年に１７歳でトップチームデビュー。先月にバルセロナと５年契約。移籍金はバルセロナ史上最高の５４００万ユーロ（約７０億円）、年俸は推定８００万ユーロ（約１０億円）。代表は１０年８月の米国戦で初出場。国際Ａマッチ通算３９試合２４得点。未婚だが、１１年８月に一般女性との間に男児が誕生。１メートル７４、６５キロ。利き足は右。