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オシム氏が指摘する3つの敗因 足りなかった経験、賢さ、走力

[ 2013年6月24日 09:14 ]

<日本・メキシコ>前半、コンビネーションで崩す香川(右)と本田

コンフェデ杯1次リーグA組 日本1―2メキシコ

(6月22日 ベロオリゾンテ)
 日本の敗因について、元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(72)は、チームの経験不足、フットボール的賢さの不足、走力不足の3つを指摘した。

 メキシコ戦が内容も結果も良くない試合になったのは、残念だった。原因は「大きな大会での戦い方」を知らない経験不足と世界のベスト20レベルのチームと対等に渡り合うための「フットボール的賢さ」の不足、そして走れなかったことだ。

 バルセロナのようにパスを回すことは短い時間ならできるようになったが、ペナルティーエリアに進入できない。できても単発で孤立し、サポートがないためシュートができない。サッカーはゴールを多く挙げた方が勝つ競技なのだから、シュートから逆算してパスを回すべき。そのイメージを選手が共有しているようには見えなかった。

 例えば香川真司、非常にいい選手だが、マンチェスターUでの役割と日本代表での役割は違う。だが、できないことを無理してやることは逆効果。本田圭佑についても同様だ。2人とも力み過ぎず、集団的コンビネーションを磨き、シュートの決定的場面で冷静さを保てるようにレベルアップしてほしい。

 日本は、どんな相手にも堂々と対等に渡り合えるところまではきた。10年程度の物差しで測れば大きな前進だ。ただ、自分たちだけが努力し、前進しようとしているのではない。世界の各国が日本以上に努力し前進している。そこに追いつき追い越すことは簡単ではない。ただ、ガッカリばかりしている暇もない。まず、現在地を客観的に見ること。あまり多くのことを望むのも禁物だ。

 W杯優勝を公言する選手もいるそうだが、夢を見る自由はある。しかし実現可能な目標、指標がなければ、いたずらに失望したり、日々の練習での課題を見失うことになりかねない。

 私は、あくまでも未来志向でやってほしいと思う。具体的には(1)日本の長所を伸ばす(2)世界のサッカーがどの方向に進むかを見極める、ということだ。(1)は現在の日本代表は、技術や戦術理解などは進歩している。しかし、メッシやC・ロナウドのようなスーパープレーヤーはいない。個人の能力のレベルアップも必要で、とくにセンターバック、GK、守備的MFなど守備の要は、強化が急がれる。

 (2)は2~3年前まではスペインの時代、バルセロナの時代で、技術とパスワークのスタイルがトレンドだった。しかし、現在は「フィジカルの時代」が来ている。参考にすべきはドイツだ。チャンピオンズリーグ決勝に残ったバイエルンMとドルトムントはどちらもドイツ。バルセロナ以上によく走り、しかも大型な選手たちが体を張ってファイトする。日本人に、すぐに大型化しろと言っても無理だが、彼ら以上に走ることを重視したい。

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2013年6月24日のニュース