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ベッカム引退…サッカー界の枠超えたスター、引き際の“美学”

[ 2013年5月17日 06:00 ]

パリSGの元イングランド代表MFベッカムが今季限りで現役引退することになった

 パリSGの元イングランド代表MFデビッド・ベッカム(38)が、今季限りでの現役引退を表明した。16日にフェイスブックなど自身の公式サイトで発表。92年からマンチェスターUを皮切りにRマドリード、ロサンゼルス、ACミランなどで活躍し、代表では主将も務めた。端正なマスクに「ベッカムヘア」と呼ばれた髪形やファッション、芸能人との結婚など華やかな私生活でも話題になったサッカー界の“貴公子”が、ピッチを去ることになった。

 サッカーの枠を超えて世界中から注目されたスター選手が、約20年の華やかなキャリアに幕を下ろす決断を下した。自身の公式サイトでベッカムは「最高のレベルでプレーしている今こそ、自分のキャリアを終えるのに正しい時だと感じた。すべてのチームメート、監督、ファンに感謝したい」。パリSGからは1年の契約延長オファーを受けていたが、衰えたプレーは見せたくないという自身の“美学”が突然の引き際を決断させた。

 92年にマンチェスターUでユースから昇格してデビュー。正確無比な右足のキックを武器に主力に成長し6度のリーグ優勝、98~99年の欧州CL制覇などに貢献した。「銀河系軍団」といわれたRマドリードでプレーした後は“サッカー不毛の地”と言われた米国行きを決断し、発展にも尽力。今年1月にパリSGと半年間の契約を結んだ際は約6億円の給与を全て慈善団体に寄付した。「子供のころ憧れたマンチェスターUでプレーして数々のトロフィーを手にできた。誇り高き代表主将も務め100試合以上プレーできた。世界的なビッグクラブに名を連ねることができた。子供の自分に伝えたらファンタジーだと言うだろうね。夢の数々を実現できたのは幸運だった」と振り返った。

 私生活では元スパイスガールズのビクトリアと結婚。“セレブ”として世界的な企業と次々とCM契約を結び、年収は一時50億円を超えてサッカー界No・1にもなった。日本でも02年のW杯日韓大会を契機に人気が爆発。大会前の4月に左足の第二中足骨を骨折したが、高圧酸素カプセルの治療で出場にこぎつけ、その器具が「ベッカムカプセル」と呼ばれ注目された。エステ大手のTBCや明治製菓のCMにも出演。また“ベッカムヘア”と呼ばれたソフトモヒカンが大流行し、「角界のベッカム」(琴欧洲)などの言葉も生まれるなど「社会現象」にもなった。

 引退後については未定だが「サッカー界に恩返ししたい」とサッカーに携わる意向は示した。残るリーグ戦は18日のブレスト戦、26日のロリアン戦。希代のスーパースターのプレーを見られるのはあと2試合だけだ。

 ▽デビッド・ベッカム 1975年5月2日、ロンドン生まれの38歳。マンチェスターUのユースチームに所属した92年9月23日のリーグ杯クリスタルパレス戦でトップデビュー。93年1月23日にプロ契約を交わした。03年にRマドリードに移籍。07年7月に米MLSロサンゼルスに移籍した。08年からはACミランに期限付き移籍。その後ロサンゼルスに復帰して13年1月からパリSGに在籍。国際Aマッチ通算115試合17得点を記録。右利き。1メートル82、74キロ。妻は元スパイスガールズのビクトリア。

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