×

夏は猛暑…22年カタールW杯は冬開催?時期変更に現実味

[ 2013年3月26日 06:00 ]

カタールスポーツクラブ競技場。6~7月の最高気温は45度に達する

 22年W杯カタール大会が開催時期問題で揺れている。同年6~7月に行われる予定だが、同時期のカタールは最高気温が約45度まで上昇するため、欧州連盟や欧州のクラブなどが冬季の開催を要望。健康に悪影響が出る危険性があることを理由に、FIFAの医事委員会は夏季開催に反対との意見をまとめた。カタール側も冬季開催は可能という見解を新たに示しており、開催時期変更が現実味を帯びてきた。

 22年W杯カタール大会の組織委員会が22日に注目すべき声明を出した。夏場の酷暑が心配されている問題で「夏でも冬でも開催する準備はできている」と初めて冬季開催の可能性について言及した。

 開催時期の変更が現実問題として捉えられるようになったきっかけは、FIFAのバルク事務局長の発言だった。今月2日、開催時期変更の可能性について「医学的見地から問題との指摘があれば、FIFA理事会で(開催の)時期変更を検討する」と、FIFA高官として初めてコメントした。

 この発言を受けて一気に注目度が高まったFIFAの医事委員会は15日、ベルギーで会合を開いた。その見解は“夏季開催反対”で、デフーゲ委員長は「医学的見地からふさわしくない。別の季節への移行を勧める」と説明。カタールの6、7月の平均最高気温は約41度。試合は冷房を効かせて気温21度にしたスタジアムでの実施が検討されているが、同委員長は「サポーターらが1カ月もの間、猛暑にさらされることを考えれば、夏季開催は問題。健康を保証できない」と問題点を指摘した。

 FIFAのブラッター会長は「変更の希望は、カタールから出されるべき」と説明している。FIFAが率先して動かない裏には、訴訟問題に発展する可能性があるからだ。開催時期が変更された場合は、開催地決定における大前提が崩れるため、10年12月の理事会投票で落選した候補地(日本、韓国、米国、オーストラリア)が再投票を要求する可能性がある。ロイター通信によると、落選候補地の中には訴訟に動く意向をFIFAへ非公式に伝えている国があるという。

 W杯は1930年の第1回大会から5~7月に開催されており、それ以外の時期に開催されれば初。冬季開催となればカタールの酷暑は回避できる一方で、欧州各リーグとのスケジュール調整など課題も出てきそうだ。

続きを表示

2013年3月26日のニュース