×

近代サッカー熟知する中村新コーチ なでしこ咲かす

[ 2013年2月10日 06:00 ]

ゲーム形式の練習で中村順コーチがイレブンに指示を出す(後ろは佐々木監督)

 女子サッカー日本代表候補の年代別合同合宿は9日、大分市内で2日目を行い、なでしこジャパンがバージョンアップに着手した。パスの精度とスピードアップを目指し、今年から就任した中村順コーチ(46)がポジショニングやタイミングを細かく指示。15年W杯カナダ大会連覇を見据え、なでしこが進化を目指す。

 本格的にボールを使ったメニューに移った合宿2日目。ピッチでイニシアチブを取ったのは佐々木監督ではなく新任の中村コーチだった。相手のマークを想定した中でパス回しを繰り返し、ターンの向きなど選手の動きを細かくチェック。周囲と連動して攻め込む形を突き詰め、ミニゲームでは何度もプレーを止めて狙いや意図を確認した。

 「サッカーがコンパクトになってスペースがない中、相手を攻略しないと。自分たちの強さであるパスの質やタイミング、予備動作などの精度を高めることがテーマ」と中村コーチは説明した。

 パスを回す攻撃サッカーで躍進してきたなでしこだが、米国をはじめとした海外の強豪が追随。「大柄な選手が緻密なサッカーをやってきた時にどうするか?」と危機感を訴えてきた佐々木監督の結論が、精度とスピードを極めることだった。

 中村コーチはドイツ留学に加え、98~03年に大宮で ピム監督らを参謀として支えるなど経験が豊富で日本人に合った指導理論を確立。自ら招へいに動いた指揮官も「近代サッカーを熟知した理論家。精度の高さを求めていくには一番いいコーチ」と信頼を寄せている。

 練習では10センチの精度にこだわる一方で、視線を利用したマークの外し方も指摘。「いいDFはキッカーの視線を見ている。それを逆手に取れば相手の上を行ける」とノールックパスの有効性を説くなど多彩な指導で選手の関心を引いた。FW京川は「クラブはそこまで細かくやらない。一つ一つ指導してくれるので分かりやすい」と歓迎し、FW川澄は「日本は判断の早さが大事。そこをしっかりと意識して練習していきたい」と訴えた。

 中村コーチは合宿後も各クラブを回って日常から意識の徹底を求めていく方針。なでしこが進化への一歩を踏み出した。

 ◆中村 順(なかむら・じゅん)1966年(昭41)3月1日生まれ、大阪府出身の46歳。高槻南高―天理大。90年から94年までドイツ・ケルンスポーツ大留学。95年にG大阪の通訳兼コーチに就任したのを手始めに、大宮や京都でもコーチとして指導に携わった。

続きを表示

2013年2月10日のニュース