×

“氷河期”欧州移籍市場…赤字制限新制度でビジャ、カカーら破談

[ 2013年2月5日 11:00 ]

 欧州の厳冬がスター選手をも吹き飛ばした。1月31日に欧州主要リーグの移籍期間が終了したが、今年の移籍市場はまるで“氷河期”。Rマドリードのブラジル代表MFカカー(30)はACミランへ、ビルバオのスペイン代表FWフェルナンド・ジョレンテ(27)はユベントスへ加入を熱望しながら、今冬の移籍は成立しなかった。主な大物の破談を分析すると、クラブの緊縮財政を促すルールが浮かび上がった。

 【破談ケース(1)RマドリードMFカカー】出場機会を求め、09年まで在籍したACミランへの復帰を熱望。年俸1000万ユーロ(約12億6200万円)から600万ユーロ(約7億5700万円)まで4割もの減俸を申し出たが、ACミランがRマドリードが要求する完全移籍の違約金1800万ユーロ(約22億7000万円)を拒否して決裂。

 【破談ケース(2)ビルバオFWジョレンテ】他リーグでのプレーを希望して今年6月で切れる契約の延長を拒否し、ユベントスと契約に合意。しかしクラブ間交渉でビルバオが求める移籍金3600万ユーロ(約45億4500万円)をユベントスが払えず今冬の移籍を断念。6月までビルバオでプレーして、ユベントスとは7月からの契約に。

 破談した両ケースに共通するのは、イタリアを代表するビッグクラブが移籍金の支払いを拒否している点だ。特にカカーの場合は本人が大幅減俸をのんでおり、移籍金も決して高くはない。ACミランの総収入が11年度で2億6680万ユーロ(約337億円)もあったこと、さらに09年にカカーがRマドリードへ移籍した際の違約金が6800万ユーロ(当時レートで約92億円)だったことを考えれば、むしろ格安とも言える。それでもACミランのガリアーニ副会長が「年齢や給与を考えれば、考えられない金額」と発言した裏には、金満クラブをも緊縮財政に走らせる“鉄のおきて”があった。

 要因となっているのが、クラブの財政健全化を目指しUEFAが11年6月から導入した「ファイナンシャル・フェアプレー」だ。11~14年の3シーズンで認められる赤字は計4500万ユーロ(約56億8000万円)で、違反すると欧州カップ戦出場権剥奪などの厳しい制裁が待っている。ACミランは11年度に6730万ユーロ(約85億7900万円)もの赤字を計上しており、昨オフにはエースFWイブラヒモビッチさえもパリSGに放出して赤字削減に血眼になっている。

 その効果はすでに欧州全体で広がっており、1月の欧州移籍期間の移籍金総額は11年の6億1300万ユーロ(約775億円)から12年の3億9300万ユーロ(約496億円)に約36%も激減。同法案を推進したUEFAプラティニ会長が「もう二度と後戻りはできない」と言うように、スター選手でさえも希望するクラブに簡単に移籍できない“冬の時代”が続きそうだ。

続きを表示

2013年2月5日のニュース