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“伝説の残留男”吉田 ミラクル再現で先発も

[ 2012年11月29日 06:00 ]

大久保らと笑顔で話す吉田孝行(中央)

 15位の神戸は28日、広島戦(ホームズ、12月1日)に向けて神戸市西区の練習場で紅白戦を実施し、負傷離脱していたFW吉田孝行(35)が主力組でプレーした。2年前の奇跡の残留を実現させたベテランが、再び窮地にあるチームを救う。14位のC大阪は、17歳のFW南野拓実(17)に川崎戦(長居)先発の可能性が浮上。16位のG大阪はアウェー・磐田戦に全選手、全スタッフが帯同する総力戦で挑む。

 2年前の奇跡の立役者が、今回の大一番でも切り札に指名された。左膝を痛めて3試合を欠場していた吉田が、紅白戦で主力組の2トップに入った。「期待はあると思うし、それに応えられるようにやっていきたい」と覚悟を口にした。

 10年シーズン、神戸は降格圏内の16位で最後の浦和戦を迎えた。勝利が絶対条件のなか、当時33歳のFWは先制点と2点目を挙げてチームを勝利とJ1残留に導いた。今回も勝ち点3を逃せば降格の可能性が高くなるだけに、2年前と置かれた状況は変わらない。

 戦術眼と個人技と精神力を高いレベルで兼ね備えるベテランは、ヴィッセルにあって唯一無二の存在だ。安達監督も「勝負強さを持っている。守備のスイッチを入れるのはいちばんうまい」と復帰を心待ちにしていた。

 今季は相次ぐ負傷に見舞われ、10月27日の川崎戦(ホームズ)では左膝を痛めて前半9分で退場した。「あとは自分がどれだけ100(%)でいけるかどうか。今日も腿裏の違和感があったし」と自ら吐露するように、決して万全ではないのも確かだ。しかし、実は10年の浦和戦の前も両ふくらはぎを痛めていて、1度はシーズンを絶望視されたほどの状態だった。

 この日は代表DF伊野波が腰付近を痛めて離脱した。ほかにもケガを抱える主力は多く、優勝クラブと比べると戦力差があることは否めない。実力差を覆すためには、プラスアルファの何かが必要。35歳のストライカーの持つ見えない力でミラクルを再現する。

 <10年12月4日、神戸―浦和戦(埼玉スタジアム)VTR>16位の神戸がJ1に残留する条件は、この試合に勝った上で15位のFC東京が引き分け以下に終わるしかなかった。真っ赤に染まる敵地に乗り込んだヴィッセルは、FW吉田が前半31分に先制点を奪い後半7分にも自ら2点目を決める。波に乗ったチームはその後も2点を奪って快勝すると、FC東京が17位の京都に敗れたとの一報が。遠征に帯同していた全選手が奇跡の逆転残留に涙した。

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2012年11月29日のニュース