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最終節での“逆転劇”湘南 3季ぶりJ1復帰果たす!

[ 2012年11月12日 06:00 ]

<町田・湘南>2位でのJ1自動昇格を決め、サポーターと喜び合う湘南の選手たち

J2最終節 湘南3-0町田

(11月11日 町田)
 湘南が最終節に逆転で3年ぶりのJ1復帰を果たした。アウェーで町田に3―0で快勝して勝ち点75。前節2位の京都がホームで既に優勝を決めた甲府と0―0で引き分けて勝ち点74にとどまり、前節3位だった湘南が2位に上がって自動昇格を決めた。残り1つの昇格枠はJ1昇格プレーオフ(18、23日)で争われ、3位京都と6位大分、4位横浜FCと5位千葉が対戦する。
【試合結果 J2順位表】

 雨の町田で湘南がうれし涙を流した。京都が引き分けた情報が入った直後にJ1復帰を告げる終了の笛が鳴ると、控え選手、スタッフもピッチに飛び出し歓喜。胴上げで5回舞ったチョウ・キジェ監督は「僕が思った以上に選手が地に足を着けてプロの態度、姿勢でやってくれたことを誇りに思う。選手が昇格をしたいと思って取り組んできたことが(逆転の)ドラマを生んだと思う」。たくましく成長した教え子たちが喜ぶ姿を見て男泣きした。

 攻撃的な“湘南スタイル”を最後まで貫いた。今季コーチから昇格した新人指揮官が導入したのがDFを減らしFWを増やす3―4―3システム。「敵陣で攻守を始める」というアグレッシブな戦術が先制点につながった。開始2分に前線のプレスでボールを奪い、速攻からFWキリノがゴール。2―0のハーフタイムにも「攻撃的に行け!」と指示し、FW大槻がダメ押し点を決めた。攻め続けた結果が今季J2最多の66得点だった。

 真壁社長が「正直ここまでやるとは想像してなかった」という想定外の昇格だった。昨季J2は14位。オフに反町監督をはじめMFアジエル、FW田原、GK西部ら主力がチームを去り、チョウ・キジェ監督自身も「真壁(社長)や大倉(強化部長)は順位が下になる予想を含めて自分を起用したと思う」と振り返る。

 “大番狂わせ”を可能にしたのは、チーム全員から「監督」ではなく「チョウさん」と呼ばれる親密な信頼関係。この試合後の控室で選手と応援歌を合唱する姿にも表れていた。開幕時で平均23歳の若いチームの中心は、指揮官が川崎F、湘南の下部組織時代に指導した8人の“チョウチルドレン”。この日もMF高山が2点目を決め、MF古林が2アシスト。ゲーム主将のMF永木は「厳しい言葉も自分たちを思って言ってくれる。愛が伝わってくる」と感謝した。

 来季続投が決定的なチョウ・キジェ監督は「このスタイルを継続することが大事。まだ頂上まで5、6割かもしれない」。資金的に大型補強は望めないが、伸びしろという可能性を秘めた若武者たちが、3季ぶりのJ1でもサプライズを巻き起こす。

 ▽湘南ベルマーレ 1968年、藤和不動産サッカー部として創部。75年にフジタ工業にチームが移管され、93年にベルマーレ平塚と改称。94年にJリーグ昇格を果たし、95~98年には中田英寿がプレーした。99年にフジタ工業が撤退して市民クラブに。湘南ベルマーレと改称された00年にJ2へ降格。10年にJ1へ復帰したが1年で降格した。チーム名のベルマーレはラテン語のBellum(ベラム=美しい)とMare(マーレ=海)の組み合わせ。ホームタウンは平塚市など7市3町。ホームスタジアムは「Shonan BMW スタジアム平塚」(1万8500人収容)。

 ◆チョウ・キジェ 1969年(昭44)1月16日、京都府生まれの43歳。在日韓国人3世。洛北高―早大から91年日立サッカー部。DFとして柏、浦和、神戸でプレーし、J通算70試合無得点。ドイツ留学を経て、川崎Fでコーチ、ジュニアユース監督、C大阪でコーチを務めた。湘南では05年ジュニアユース監督、06~08年ユース監督、09~11年トップチームコーチを務め、今年から監督に就任。

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