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ザックの魔法 防戦一方の前半から後半ライン上げ一変

[ 2012年10月14日 06:00 ]

<フランス・日本>細貝萌(左)と握手を交わすザッケローニ監督

国際親善試合 日本1-0フランス

(10月12日 サンドニ)
 日本のポゼッションサッカーはフランスのスピード、テクニック、パワーの前にその半分も実現できなかった。しかし、ザッケローニ監督の繰り出した采配が局面を一変させた。試合前、指揮官は選手に「守備的なサッカーは時代遅れ」とアジアと同じスタイルでプレーするように指示した。
【試合結果】

 しかし、選手はナイーブだった。試合前の雨で重くなったピッチに足を取られた上に、「フランスという名前にびびった」と今野が言うように、前半は全体的にラインが下がり、押し込まれる場面が目立った。クラブで出番のない長谷部誠もパスミスが目立ち、有効な攻撃ができなかった。

 そこで指揮官はハーフタイムに「思い切ってラインを上げろ」と注文を出した。最終ラインを上げることで前線との距離が縮まり、パスがより回りやすくなった。さらに、後半17分には長谷部、中村を下げ乾貴士と細貝萌を投入し香川真司をトップ下に置いて攻撃を活性化。そして後半41分には大胆なシステム変更を敢行。「スペースができていた。前線に速い選手を配置すればチャンスをつくれると思った」。得点を狙い前掛かりになったフランスの隙を見逃さず、1トップのハーフナー・マイクの位置に香川を入れ、ボランチの遠藤をトップ下に上げた。

 決勝弾は香川がより相手ゴールに近いところにいたからこそ、スピードのある長友佑都のクロスを走り込みながら受けることができた。相手CKの場面で香川と乾を前線に残した策も的中した。「良い結果だ。前半は押し込まれたが、後半は互角の戦いができた」。ケガで本田、岡崎、前田を欠き、ベスト布陣を組めない中でつかんだ金星。「バランスの良いチームになってきた」。2年後のW杯本大会に向け、確かな手応えを得た様子だった。

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2012年10月14日のニュース