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陽子 何もできず「これからのサッカー人生にとって凄く大きい」

[ 2012年9月5日 06:00 ]

<日本・ドイツ>歓喜のドイツイレブンを横目にヤングなでしこの田中陽(9)らイレブンはガックリ引き揚げる

U―20女子W杯準決勝 日本0―3ドイツ

(9月4日 国立)
 日本は前回覇者のドイツと対戦し、0―3で敗れ、初の決勝進出を逃した。前半だけで3点を失う予想外の展開。今大会最多2万8306人の声援を受け反撃したが、5試合連続ゴールを狙ったMF田中陽子(19=INAC神戸)も不発に終わり、無失点を誇るドイツ守備陣の壁を破れなかった。日本は、初の決勝進出を逃し、8日の3位決定戦(国立)でナイジェリアと対戦する。

 いつものヤングなでしこの笑顔はどこにもなかった。持ち前の超攻撃的サッカーが鳴りを潜め、屈辱的な零敗。一斉に顔を覆う仲間たちの横で、田中陽は涙すら出なかった。世界の壁の高さを痛感させられた90分間。「きょうはできなさすぎた。泣いてる場合じゃない」。2万8306人が沈黙した聖地のピッチ上で、悔しさとともに新たな決意も込み上げていた。

 序盤で立て続けに3点を奪われる苦しい展開も、5試合連続得点を期待された田中陽は冷静にゴールのチャンスをうかがっていた。「1点を入れられても焦らずプレーしようと思っていた」。前半21分には左サイドからクロスを入れてゴール前の田中美に合わせてチャンスメークしたが、得点に結びつかず。相手ゴールに向かってプレーする場面をつくれないまま時間だけが過ぎていった。後半16分には無念の途中交代。戦術のためにベンチに退いたが「もっとプレーをしたかったけど、自分の力が足りなかった。ゲームを読む力もなかった」と、ちょっぴり悔しさをあらわにした。

 屈指のテクニシャンをもってしても上には上がいることを知った。それがこの敗戦で得た最大の収穫だ。「こういう経験ができたことで何をすべきか分かりやすくなった。これからのサッカー人生にとって凄く大きい」。泣き声に包まれた試合後のロッカールーム。「フィジカルも技術もある相手には、個だけじゃなく組織的にやらないと。もっとアイデア豊富にポゼッションをしないといけない。次は絶対に…」と気丈に仲間を鼓舞する田中陽の姿があった。

 悲願だった自国開催での初優勝という夢はついえたが戦いが終わったわけではない。8日にはナイジェリアとの3位決定戦が待っている。苦楽をともにしたヤングなでしこたちとのラストマッチ、2点以上を取れば得点王に輝く可能性もある。「得点王のチャンスはあるので、チームが勝ってメダルを獲るためにも貪欲に狙っていく。ゴールへの執着心を全部出したい」。重苦しいムードの中、腹の底から声を出して誓った得点王宣言。それが日本のエースの成長の証だった。

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2012年9月5日のニュース