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ヤングなでしこ初4強!陽子4戦連続ゴール!

[ 2012年8月31日 06:00 ]

<U-20女子W杯 日本・韓国>前半、ゴールを決めた田中陽

U―20女子W杯準々決勝 日本3―1韓国

(8月30日 国立)
 日本が宿敵・韓国を3―1で倒して、史上初のベスト4入りを果たした。前半8分に柴田華絵(20=浦和)のゴールで先制。いったんは追いつかれたものの、同19分に再び柴田が決めて勝ち越すと、同37分に田中陽子(19=INAC神戸)がダメ押しゴールを押し込んだ。田中陽は4試合連続ゴールで今大会通算5得点。またしても攻撃の要として勝利に導いた。日本は9月4日の準決勝でドイツ―ノルウェーの勝者と対戦する。

 ヤングなでしこが宿敵を下した。勝負を決定づけたのは田中陽だった。2―1の前半37分、右サイドの高木からのパスをファーサイドに待ち構えて右足で押し込んだ。「何が何でも勝つ気持ちだった。(得点は)高木選手と話していた、理想通りのゴール。おいしいゴールを狙っていた」。今大会最高の2万4097人の観衆の前でダメ押し弾を決め、U―20女子W杯で初の準決勝進出をたぐり寄せた。竹島問題などもあり、ピッチ外がうるさかった日韓戦。自身がゴールを決めながらPK戦で敗れた10年U―17女子W杯決勝のリベンジを果たすとともに、ロンドン五輪3位決定戦で敗れた関塚ジャパンの“敵討ち”にもなった。

 「世界の沢」にも肩を並べた。今大会4試合連続となる5点目。世界大会での5得点は、チームメートのFW横山久美(19)が10年U―17女子W杯で決めた6得点に次ぐ記録。11年女子W杯でなでしこジャパンの沢穂希(33)がマークした5得点に並び「(知らなかったので)ビックリしました」と喜んだ。この日はトップ下、ボランチではなく左MFで先発。前半8分の先制点の起点になると、後半16分からは左サイドバックに入り、ユーティリティーぶりも発揮した。

 テクニックは努力によって培われた。JFAアカデミー福島で5年間、田中陽を指導した小林忍GKコーチ(33)は「中学生の時は技術は中レベルだった。でも、誰より練習熱心だった」と振り返る。1メートル57と小さな体格を補うため全体練習が終わっても居残りでシュート練習。“このシュートが決まるようになったら帰る”と納得するまで寮に帰らなかった。

 常に高みを見据えてきた。高校3年夏には、単身でイングランドに短期留学した。アーセナル・レディースなど強豪クラブに練習参加しながら技術を学んだ。INAC神戸に入団したのも「一番上(のレベル)でできないとダメ」と出場機会よりもチームのレベルを最優先に考えた。今季はリーグ戦1試合、リーグ杯1試合の出場にとどまっているが、その中で着実に成長。世代別では最後となる国際大会で自らの名を世界に知らしめた。

 それでも史上初のベスト4は通過点にすぎない。「準決勝で絶対に勝って、決勝まで行って優勝したい」と力を込める。得点ランクトップの北朝鮮FWキム・ウンファの7得点にも2差と迫った。「チームでも個人でもタイトルを獲りたい」とダブル頂点を見据えた。

 ◆田中 陽子(たなか・ようこ)1993年(平5)7月30日、山口県山口市生まれの19歳。FCレオーネ―JFAアカデミー福島から今春INAC神戸に入団。U―16から年代別の日本代表に選出され、08年U―17W杯には15歳で飛び級招集。10年U―17W杯では6試合4得点で準優勝に貢献。目標の選手はスペイン代表MFイニエスタ。趣味は服集め。好きな歌手は西野カナ。1メートル57、47キロ。利き足は右。

 ≪全カテゴリーのW杯で4強以上≫ヤングなでしこが初の準決勝進出。これで女子はA代表、U―20、U―17の全カテゴリーのW杯で4強以上進出となった。米国、ドイツに次いで3カ国目。

 ≪沢に並ぶ1大会5得点≫田中陽が今大会4試合連続通算5点目。世界大会での1大会5得点は11年W杯の沢穂希に並んだ。最多得点は10年U―17W杯の横山久美の6得点。また、連続試合得点でもなでしこジャパン最多のAマッチ4試合連続(大儀見優季ら3人が計5回)に並んだが、今大会はAマッチではないので参考記録。U―20代表では09~10年に岩渕真奈がマークした7試合連続(対クラブチームは除く)が最長。次いで02年に伊藤香奈子、11~12年に京川舞が5試合連続を記録。

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