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イタリア逆転8強!心臓手術乗り越えカッサーノ先制弾

[ 2012年6月20日 06:00 ]

<イタリア・アイルランド>ゴールを決め喜ぶカッサーノ

欧州選手権グループC イタリア2―0アイルランド

(6月18日)
 イタリアがアイルランドを2―0で下し、今大会初勝利で勝ち点を5に伸ばし、2位で1次リーグ突破を決めた。心臓手術を乗り越えたFWアントニオ・カッサーノ(29=ACミラン)が前半35分の先制点で貢献した。

 勝利を告げる笛から81秒後、他会場の結果を待っていたブッフォンが歓声を上げて走りだした。同時刻開催の試合でスペインが1―0でクロアチアを撃破。イタリア突破の条件がそろい、イレブンが歓喜の抱擁を繰り返す。殊勲のカッサーノも輪の中で喜びに浸った。

 「(別会場の)試合終了が待ち遠しかった。ようやく終わって、そしてとてもハッピーになれた」

 前半35分に左CKに頭を合わせて先制点。今大会初得点で逆転突破の絶対条件となる勝ち点3の扉を開き、マン・オブ・ザ・マッチも受賞。「選ばれたことは光栄だけど、重要なのはチームが勝ち上がったこと」と感慨深げだ。

 8年前の悪夢が脳裏をよぎった。04年大会もブルガリアとの最終戦に勝利し、カッサーノは終了間際の決勝点でマン・オブ・ザ・マッチの活躍。だが、同時進行だったデンマーク―スウェーデン戦が2―2に終わり、勝ち点5で両チームと並んだイタリアは当該チーム間の総得点で敗れた。

 当時21歳のストライカーは号泣。この日もスペイン―クロアチア戦が2―2ならイタリア敗退など厳しい突破条件があったが、かつての問題児は攻撃陣を引っ張った。奔放な言動が騒動や不安定なパフォーマンスを招き、欧州選手権3大会連続出場の一方でW杯未経験。しかし、1児の父となった29歳は昨年11月に心臓疾患の手術を受け「引退も考えた」という人生の分岐点で復帰を選び、8年前の涙を喜びに変えた。

 「俺たちのEUROはここからさ」とカッサーノ。逆境を乗り越えた男はさらに上を見据えた。

 ◆04年欧州選手権のイタリア 1次リーグではC組に入り、2戦2分けで最終戦のブルガリア戦に臨んだ。後半3分にペロッタが同点弾を決め、ロスタイムにカッサーノのゴールで2―1と勝ち越し。だが、他会場でスウェーデンが後半44分の得点でデンマークと2―2の引き分けに持ち込んだため3チームが勝ち点5で並んだ。当該チーム間の総得点が1点のイタリアは敗退決定。ベンチで結果を聞いたカッサーノは泣きながら座り込んで残り時間のプレーを拒んだ。試合前から北欧2カ国による「2―2で談合」の可能性が指摘されていたが、UEFAは疑わしい点はないと判断。

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2012年6月20日のニュース