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なでしこ ロンドンへ新武器!右SB近賀がゴール

[ 2012年4月2日 06:00 ]

前半32分、先制ゴールを決める近賀

キリンチャレンジカップ2012 日本1-1米国

(4月1日 ユアスタ)
 なでしこジャパン手応えのドローだ。FIFAランキング3位の日本は東日本大震災の被災地・仙台で同1位の米国と1―1で引き分けた。試合前には震災の犠牲者のため黙とうが行われた特別な一戦。日本は前半32分、近賀ゆかり(27=INAC神戸)がこぼれ球を押し込み先制。後半追いつかれたが、ライバルを圧倒する内容で、ロンドン五輪へ好感触の残る90分間だった。日本は5日にホームズスタジアム神戸でFIFAランク4位のブラジルと戦う。
【試合結果】

 なでしこジャパンきっての“イケメン”が、冷え込んだ杜の都を一瞬で熱くした。前半32分。川澄の浮き球のパスに合わせ右サイドから走り込んだ近賀がゴール前の永里へパス。永里のシュートはGKにはじかれたが、こぼれ球に素早く反応した右サイドバックが左足を振り抜いた。10年5月8日のアジア杯壮行試合メキシコ戦以来となる国際Aマッチ通算5得点目。複数の選手が連動した鮮やかな先制点に大歓声がわき上がった。

 「自分のところに(ボールが)来たので思いっきり振りました。川澄選手がためたことで、1人目(大野)はオフサイドになりそうだったから、2人目(近賀)に(パスが)出ました」。クールビューティーは冷静に振り返った。宝塚の男役ばりの端正な顔立ちで、川澄のブログでは近賀の写真が掲載されるとコメント数が激増するという人気選手。転機は5年前だ。もともと攻撃的なポジションの選手で、代表合宿にもたびたび呼ばれていたが、大会になるとメンバーを外された。そんな時、大橋前監督からサイドバックへの転向を打診された。「試合に出られるならどこでもいい」と迷わず受け入れた。

 豊富な運動量に目をつけた大橋氏の狙い通り、以後、サイドバックとして急成長した。だが、常につきまとった課題がサイドからの攻撃参加。右MFの大野からは「私も自由にやるから近ちゃん(近賀)も自由にやっていいよ」と背中を押され、バルセロナのブラジル代表ダニエウ・アウベスや日本代表の長友らサイドバックの世界的名プレーヤーのビデオを2人で繰り返し見て攻撃のイメージを高めていた。

 「オーバーラップした時が楽しい。魅力的なポジション」と今ではすっかりサイドバックにはまっている。得点シーンは大野とともに積み上げた練習の成果だった。これまで左サイドの鮫島と比べると、物足りない印象があったが、再三攻め上がってアピールした。

 「凄い寒かったのにたくさんの方が来てくださってうれしかった。勝って終わりたかった」。勝利を逃したことを何より悔やんだが、なでしこに加わった新たな攻撃オプション。それを世界に知らしめた夜になった。

 ◆近賀 ゆかり(きんが・ゆかり)1984年(昭59)5月2日、神奈川県生まれの27歳。4歳上の兄・健太郎さんの影響で小3から東汲沢サッカークラブで本格的にサッカーを始める。中学時代の横須賀シーガルズ、湘南学院高を経て日体大進学と同時に日テレ入り。11年からINAC神戸に所属。日本代表通算77試合5得点。1メートル61、53キロ。利き足は右。

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