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なでしこ衝撃…沢、悲痛「ヘディングできない」

[ 2012年3月15日 06:00 ]

会見で時折、渋い表情を見せる沢

 良性発作性頭位めまい症と診断を受けたINAC神戸のMF沢穂希(33)が14日、神戸市内でチームに合流、体調不良となってから初めて報道陣に口を開いた。頻度は減ったものの、まだめまいに悩まされており、試合復帰の見通しが立っていないことを告白。さらに外傷が原因となったことも考えられるため、今後ヘディングができない可能性も示唆した。

 頬はこけ、顔色も悪かった。INAC神戸に合流した沢の口から衝撃的な言葉が飛び出した。

 「外傷でなることもあるから、当分、ヘディングができるのか、分からないです」。良性発作性頭位めまい症は頭を強く打つなど外傷も原因となると言われている。医師から制限は受けていないが、なでしこジャパンの大きな得点源でもある沢のヘディングが今後使えない可能性があるのだ。

 発症したのはポルトガル入りした翌日の2月27日。練習に備えスパイクのヒモを結ぼうとした時に「くらっとした」。3月4日の夜には「急に(めまいが)きて立っていられなくなって。倒れちゃった」。吐き気もあったという。めまいの回数は徐々に減っているが、うつぶせや左向きで寝ている時は「くるくる回る」と完治してはいない。

 そのため復帰の見通しも立たない。「一日でも早くチームに復帰することが目標。どこに合わせるというより体調を整えるのが一番」と話し、15日の高陽大教戦は欠場が決定。帰国後も静養中は外を出歩くこともできず、練習再開どころではない。この日も15分程度ウオーキングをこなしただけで引き揚げた。

 16日からの鹿児島・沖縄遠征もリハビリに専念する方向。今月下旬からのなでしこジャパンの宮城合宿、4月1日の米国戦(ユアスタ)、5日のブラジル戦(ホームズ)も辞退する可能性が出てきた。症状が長引けば五輪本大会への影響も心配される。

 医者からはストレスや疲労も原因の一つと言われ「W杯以降、どの選手もストレスや疲労がある。これは自分だけにとどめてほしい」と気遣いを見せたなでしこジャパンのエース。笑顔はいつ戻るのだろうか。

 ▽良性発作性頭位めまい症 起き上がったり姿勢を変えたりして頭が動くことをきっかけに突然起こる回転性のめまい。メニエール病と違い、耳鳴りや難聴は伴わない。三半規管内のリンパの流れが乱れて起こるもので、最も多い原因は三半規管に接する耳石器からはがれた浮遊耳石が半規管に入り込むことで起きる。同じ体勢でいることで引き起こされるとも言われているが、発症原因ははっきり分かっていない。めまい自体は1分程度で治まり、1週間から1カ月程度で治癒する。シンクロナイズドスイミング元日本代表の武田美保さんも99年に発症した経験を持つ。

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