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仙台 希望の1勝!「復興元年」東北のシンボルになる

[ 2012年3月11日 06:00 ]

<仙台・鹿島>後半17分、ヘディングでゴールを決め大喜びの仙台・上本(右)と手倉森監督

J1第1節 仙台1―0鹿島

(3月10日 ユアスタ)
 20年目を迎えたJリーグは10日、J1が開幕した。仙台は同じ被災地クラブの鹿島と対戦。新加入のDF上本大海(29)が挙げた1点を守り切って1―0で勝った。11日に東日本大震災からちょうど1年の区切りの日を迎える東北に白星を贈った。

 東日本大震災から365日。気温3・8度、冷たい雨が降り続く中、駆けつけた1万8250人のサポーターの歓喜を呼んだのは新加入の上本の新天地初ゴールだった。均衡を破ったのは後半17分の左CK。ファーポストで赤嶺が折り返したボールを、無我夢中で頭で押し込んだ。被災地クラブ同士が激しくぶつかりあった一戦を、司令塔の梁勇基(リャンヨンギ)を負傷で欠きながら制した。上本は「今年は復興元年。被災地の方々へのプレゼント。チームが一丸となって勝利を届けられてよかった」と喜びをかみしめた。

 昨季、クラブ最高成績となる4位に躍進した仙台が、通算15冠の鹿島を相手に進化を証明した。手倉森監督が掲げた今季の目標はACL出場権がかかる3位以内ではなく優勝。一気に頂点を目指すため新たな戦術を取り入れた。

 リーグ最少の25失点だった昨季は引いてゴール前を固めて速攻を狙ったが、今季は最終ラインを高く保ち前線からプレスを仕掛ける。ラインを高くすれば裏のスペースを突かれるリスクが大きい。そのスペースをカバーさせる新戦力としてC大阪から獲得したのがスピードのある上本だった。新生ベガルタの象徴が価値ある決勝点を決めた。

 手倉森監督は「1対1に強くて、相手キーマンのジュニーニョと競走しても、先にボールに触れる。いいカバリングをしてくれた」と絶賛。攻守で勝利の立役者となった上本は「自分が入ることでもっと前から守備に行けたら、攻撃の幅や深さが広がると思う」と手応えを口にした。

 震災から1年たっても「被災地の希望の光になる」という選手たちの気持ちは変わらない。日本代表復帰を目指す関口は「復興にはまだまだ時間がかかる。苦しんでいる人たちのためにも、今シーズンも戦いたい」とさらなる白星を被災地に贈ることを誓った。3連敗中だった鹿島を破って得た自信と勢いで、J新記録を樹立した昨季の開幕12戦不敗を超えるスタートダッシュを狙う。

 ≪開幕戦の無失点を継続≫仙台が1―0で開幕戦勝利。J1は通算5シーズン目だが、これで開幕戦は4勝1分けの負けなしで無失点を継続。

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2012年3月11日のニュース