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今野、清武封じ!初のJ2決勝で“有終の美”だ

[ 2011年12月30日 06:00 ]

<FC東京・C大阪>完封勝利を飾り、祝福し合うFC東京・今野(右)とGK権田

天皇杯準決勝 FC東京1―0C大阪

(12月29日 長居)
 J2王者のFC東京がC大阪を1―0で下し、クラブ史上初の決勝進出を決めた。主将のDF今野泰幸(28)が、同じ日本代表のMF清武弘嗣(22)とのマッチアップに完勝。後半32分にMF谷沢達也(27)の決めた1点を守り切り、今大会3戦連続で1―0の完封勝利となった。9大会ぶりの優勝を目指すJ2京都は途中出場の久保裕也(18)が1得点1アシストと活躍し、延長の末に横浜を4―2で破った。元日の決勝(国立)は史上初のJ2対決となる。
【試合結果 組み合わせ】

 昨年はJ1からの降格という屈辱を味わった。昨オフは国内外から獲得オファーが殺到したが「責任を全うしたかった」と残留を決意した。そして1年でJ1返り咲きを決めた。今野は「J2で学んだことも多い」と言う。内容の濃い守備が内容の濃い攻撃を生むということを意識し続け、勝つサッカーを構築した。平均失点率0・58はJ2でダントツ。天皇杯ではJ1の浦和、C大阪と対峙(たいじ)しても、その堅守は不変だった。

 決勝は史上初のJ2対決となった。G大阪への移籍が決定的な今野にとって青赤のユニホームを着て戦う最後の試合となる。「全く同じメンバーではもうできない。変な大会ですけど、それがモチベーションにもなっている。課題となってる2点目も決めてお祭りムードで優勝したい」。

 冷静沈着なDF今野が鬼の形相で感情をあらわにした。1―0で迎えた後半ロスタイム。C大阪のCKからゴールが決まったように見えたが、次の瞬間、甲高いホイッスルが鳴った。「ピッチ上では全員が分かったはず」と今野。相手FW播戸が手を使ってゴールに入れたのは明白だった。

 両チームが熱くなり、主将の今野を中心にもみくちゃとなった。「完璧なハンド。それなのに(スタンドで)見ている人にそう見えないというのは不快だったので…」と激高の理由を明かした。これが勝利への執念であり、守備の最後のとりでとしての正義感だった。当然、ゴールは認められず、1―0の完封勝利。準々決勝の浦和戦に続く“気迫の下克上”でJ2史上初の決勝に導いた。

 最大の勝因は言うまでもなく今野の守備だ。相手MF清武とマッチアップすること9回。矢のように鋭いプレスとカバリングで一度も突破を許さず、ザックジャパン対決に完勝した。「ヒヤヒヤ感も味わえたし、久々に楽しかった。あそこで攻撃に変化をつけてたんで」。試合中、その空間だけが異次元に見えたハイレベルなマッチアップをそう振り返った。

 元日決戦は、FC東京の今野として臨む集大成。悲願の初Vで有終の美を飾る。

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