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左手甲打撲も強行出場 川澄から4発で大会連覇へ王手

[ 2011年12月28日 06:00 ]

<INAC神戸・岡山湯郷>前半44分、高瀬のゴールで笑顔を見せるINAC神戸・川澄(左は大野)

全日本女子選手権準決勝 INAC神戸4-1岡山湯郷

(12月27日 国立競技場)
 川澄が2ゴール1アシストで2冠に王手をかけた。左手甲を負傷したINAC神戸のFW川澄奈穂美(26)が志願の先発フル出場。患部をテーピングとグローブで保護しながらも、全得点に絡む活躍で岡山湯郷に4―1で圧勝した。来年1月1日に行われる決勝(国立)では大会連覇を懸け、初の決勝進出を決めた新潟と対戦する。

 前の試合で負傷した左腕には違和感が残っている。だが川澄は笑顔を絶やすことなくピッチを疾走した。

 開始早々の前半2分、川澄ショーの幕が開いた。ゴール前で相手DFを引き連れ、走り込んだ左SB那須にパスを送り先制弾を演出。前半24分には沢から縦パスをもらうと池笑然(チソヨン)とのパス交換を受け無人の左サイドを20メートル駆け抜けた。ゴールへ向かいドリブルでまっしぐら。右足を振り抜くとカーブがかかったボールはGKの手をかすめゴール右隅に吸い込まれた。「相手が前にくるのは分かっていた。狙い通りに崩せた」

 前半44分には3点目の起点になり、3―1で迎えた後半45分には再び“技あり”のゴールを披露。左サイドで相手DFのクリアボールを奪うと、無人のピッチを約40メートル独走。ゴール前まで駆け抜けた。焦らず軽く体を動かしてフェイントをかけると、背後から追いすがった相手DFはたまらず尻もち。そして余裕でGKをかわし、この日の2点目を叩き込んだ。終わってみれば、チームの全得点に絡む2得点1アシスト。「ボールも人もよく動いて楽しかった」とちゃめっ気たっぷりに振り返った。

 一時は出場すら危ぶまれていた。23日の準々決勝・AS狭山戦で左手を踏まれ負傷。打撲と診断された患部は紫色に大きく腫れ上がり、直後の練習ではフルメニューに参加できなかった。だがこの日朝、監督に出場を直訴。接触プレーでの不安はあったが、患部にテーピングを施しグローブをしての出陣だった。

 1年前とは何もかもがが違っていた。昨年の準決勝、舞台は国立でなく西が丘サッカー場。観客も1224人だった。それが半年後のW杯で世界の頂点に立ち、空前のなでしこフィーバーが起きた。人気を反映し準決勝からは聖地・国立が用意され、昨年の3倍、4417人が集まった。思い通りのプレーをしたことで「自分たちにとってはここがスタートライン。ここに来てやっと連覇に対する戦いに挑める」と充実感も感じている。

 川澄の大活躍でチームは2011年を20戦無敗で締めくくった。激動の一年で結果を残した、なでしこジャパンのエースは「1月1日もしっかり勝っていいスタートにしたい」と宣言。新年早々、とっておきの川澄スマイルを届けてくれそうだ。

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2011年12月28日のニュース