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柏 PK戦で散る…10人目GK菅野が外し力尽く

[ 2011年12月22日 06:00 ]

<名古屋・柏>PKを外したGK・菅野(中央)を柏イレブンが慰める

天皇杯4回戦 柏3-3(PK8-9)名古屋

(12月21日 瑞穂陸)
 柏が死闘に散った。J1王者・柏と名古屋の戦いは3―3でPK戦に突入。互いに譲らず10人目までもつれ込んだが、柏はGK菅野孝憲(27)が失敗して、8―9で落とし8強入りを逃した。

 MFレアンドロ・ドミンゲス(28)の先制ゴールなどで2―0とリードしながら、過密日程の疲労などもあって最後に力尽きた。勝った名古屋は24日の準々決勝で横浜と対戦する。

 サドンデスのPK戦。名古屋の9人目でGK楢崎が決めた直後、柏の10人目のキッカーとしてゴール前に立ったのはGK菅野だった。硬い表情。こん身の力を込めたシュートは無情にもバーを叩いた。「プロでPK蹴るのは、たぶん初だと思う。俺なのって思ったけど、やっぱり決めないといけなかった」

 止めなければ負ける。続くダニルソンのシュートに菅野は一歩も動けなかった。がくっと崩れるように膝を突いた。「顔を下げるな」。シジマールGKコーチの声が飛んだ。悔しさをかみしめる守護神がそこにはいた。

 2―0として勝利を確信していたが、後半立て続けに2失点。延長前半には2―3とひっくり返された。「やっぱり90分で(勝負を)決められたら良かった」と菅野はリードを守りきれなかった悔しさをにじませた。「もっとこのチームで試合がやりたかった」と言って酒井は号泣した。

 18日にトヨタ・クラブW杯の3位決定戦を戦い中2日での試合だった。3日のリーグ最終戦から約3週間で6試合。そのうち3試合がPK戦までもつれた。過密日程の中で疲労は隠せず最後は力尽きた。

 「顔を上げよう。今年一年よく戦った。素晴らしかった。われわれはチャンピオンなんだ」とネルシーニョ監督は試合後、選手たちに語りかけた。

 2冠は消えたが、今季の快進撃が色あせることはない。J1復帰のシーズンに初優勝を果たし、トヨタ・クラブW杯では南米王者サントスと準決勝を戦うなど健闘した。この試合も延長後半に同点とし、J1王者の意地を見せた。指揮官は「誰も忘れられない歴史を刻んだ」と言い、北嶋も「チームにとって大きな財産になった」と誇らしげだった。

 来季もネルシーニョ監督以下、同じ体制で戦う。リーグ連覇、そして初参戦のACLではアジアの頂点を目指す。今季以上の過酷な日程が待ち受けるが、ひるむ者はいない。

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