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長谷部 被災地に幼稚園を再建、印税など9500万円寄付

[ 2011年12月22日 06:00 ]

園舎の建設予定地で南三陸町の子供たちと触れ合う長谷部

 サッカー日本代表の主将を務めるMF長谷部誠(27=ボルフスブルク)から被災地にビッグなクリスマスプレゼントが贈られた。東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町を21日に訪問し、日本ユニセフ協会に4500万円を寄付。すでに寄付した5000万円と合わせ、津波で流失した同町のあさひ幼稚園の園舎の建設費に充てられることになった。

 長谷部が南三陸町の復興を託したのは、無限大の可能性を秘めた被災地の子供たちだった。

 「地道な復興作業がまだまだ続いている。自分ができることは何なのか。お金を寄付するというのではなく、僕の本を買ってくださったりイベントに来てくださった方の気持ちを何かの形にしたかった。今回の幼稚園には日本中の皆さんの思いが詰まっている」

 私立あさひ幼稚園は1964年(昭39)に創立。震災前は74人の園児の笑顔に包まれていた。だが、周辺一帯が津波にのまれ、元の敷地はがれきの山と化した。幸い園児に被害はなかったが、小島孝尋園長は「このまま廃園になるのか」と絶望の縁に立たされた。夏頃に知人の日本ユニセフ協会の関係者に相談したところ、関係者を通じて長谷部に話が伝えられた。

 避難などにより園児も47人に減少。子供の頃の夢が「保育士」だったという長谷部は心を痛めた。「復興には地元の人の力が欠かせない。教育施設を元に戻すのは町に人を戻すことでもある。一番小さな世代が、この幼稚園で育って、南三陸を復興に導いてくれれば」。再建のためにミリオンセラーとなった自身の著書「心を整える。」(幻冬舎)の印税と故郷の静岡県藤枝市で開いたチャリティーイベントの収益計9500万円の全てを日本ユニセフ協会を通じ寄付することを決めた。

 来年1月中には着工し、3月の完成を目指している。「完成したら(幼稚園に)行きたい。そして、一緒にサッカーをしたりしていっぱい遊びたい。サッカーをやめたら保育士になるのも一つの道かな」。今は更地の建設予定地だが、新学期が始まる4月には“長谷部幼稚園”は子供たちの笑い声に包まれているはずだ。

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