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国内リーグ空洞化の恐れ…それでも「欧米化」で個を強化

[ 2011年7月21日 15:10 ]

スウェーデン戦の後半、ドリブルで相手陣内に攻め込むFW安藤梢

 女子日本代表の発足から30年。なでしこジャパンが世界の頂点に立つ道のりで欠かせなかったのが個々の「欧米化」だ。日本サッカー協会の中村修三女子部長は「もっとも力を入れてきたのが育成世代からの国際化。(国内の)なでしこリーグはチーム力が拮抗(きっこう)しておらず、どうしてもぬるい部分がある。それでは世界に通用する個の強化につながらない」と打ち明けた。

 五輪の正式種目となった96年アトランタ五輪を機に国内で女子サッカー熱は高まった。だがシドニー五輪で出場権を逃すなど、当時はフィジカルも技術も欧米勢の後じんを拝していた。いち早く個の強化の必要性を感じたMF沢が99年、米国に移籍し海外への道を切り開いた。現在のなでしこジャパンには経験者を含め8人、今も米国、フランス、ドイツと総勢5人が海外でプレーしている。

 日本協会も欧米化をバックアップした。昨年から「海外強化指定選手制度」を導入。海外でプレーする選手には1万円の日当を支給する画期的な制度だ。海外移籍と言えば華やかだが、女子サッカーの実情は厳しい。例えば強豪デュイスブルクのFW安藤は、日当がなければ、日々の生活すらままならない経済環境に置かれている。それでも海外経験は必要だった。

 かつて浦和の強化責任者としてACL制覇の実績を持つ中村女子部長は現状を見つめ「大事なのはこの状況を継続すること。浦和でも経験したが、強さを維持することは本当に難しい。今年中に海外組を8人までに増やせれば」と語る。国内リーグの空洞化を懸念する声もあるが、まずは代表チームが世界で輝くこと。それが女子サッカーの底辺拡大にもつながる。

 日本協会では「なでしこチャレンジプロジェクト」と題し、全国からU―15世代からの人材発掘も進めている。なでしこ予備軍の発掘→欧米化のサイクルが、黄金時代を導くことになる。

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2011年7月21日のニュース