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あきらめない!仙台 逆転で今季初勝利!

[ 2011年4月24日 06:00 ]

<川崎F・仙台>後半28分、ゴールを決めガッツポーズして喜ぶ太田ら仙台イレブン

J1第7節 仙台2-1川崎F

(4月23日 等々力)
 不屈の魂で逆境をはね返した。3月11日の東日本大震災の影響で中断していたJリーグが23日、約1カ月半ぶりに再開。被災したJ1仙台は、敵地で川崎Fを2―1と逆転で破り、今季初勝利を挙げた。0―1の後半28分にFW太田吉彰(27)が同点とし、同42分にFKからDF鎌田次郎(25)が頭で決めて勝ち越し。最後まで諦めない強い気持ちを東北の被災地へのメッセージとして届けた。

 東日本大震災から43日分の感情が爆発した。雨中の劇的な逆転勝利を告げる笛を聞いた瞬間、仙台の選手、スタッフ、サポーターは抱き合い、一体となって喜びを分かち合った。青森県出身の手倉森監督は「最高の勝ち方。ベガルタの監督としてではなく、東北人として泣いてしまった」と感極まって涙を流した。

 被災した東北に白星を届けるため、最後まであきらめない執念が逆転を呼んだ。1点を追う後半28分、MF梁勇基(リャンヨンギ)が競り合ったボールをFW赤嶺がつなぎ、最後は昨季磐田から加入したFW太田が倒れ込みながら右足でシュート。ボールは相手DFに当たってコースが変わり、仙台サポーターの目の前でゴールネットを揺らした。足をつってそのまま交代した太田は「つっていたので足を出すことしかできなかった。弱くて普通なら入らないシュート。全ての人の気持ちが乗り移ったゴールだった。一生忘れられない」と仙台での初得点をかみしめた。そして、後半終了直前のFKで決勝弾を頭で決めたDF鎌田は「何としても勝ちたかった。僕だけの力じゃなく一丸で勝ち取った結果」とスタンド観戦したベンチ外の選手を含めたチーム全員の勝利を強調した。

 逆境をチャンスに変えた。9日にエースとして期待されていたFWマルキーニョスが震災の影響で退団。直後のミーティングで手倉森監督は「残ったメンバー全員の力が必要だ。団結して戦うぞ」とチームの一体感を訴えると同時に、システム変更に着手した。「全員で守って全員で攻める」ために4―4―2に替えて4―3―3を練習試合でテスト。16日の大宮戦で1得点と結果を残した太田をマルキーニョスの“代役”に抜てきした采配がズバリはまり、J2時代を含めて過去にアウェー戦で1分け6敗と勝てなかった川崎Fに初めて土をつけた。

 3月11日の震災ではクラブハウスが半倒壊し、本拠地ユアテックスタジアム仙台も大きな被害を受けた。クラブハウスの分析室にいた指揮官は棚を押さえようと立ち上がった瞬間、座っていたソファに天井が落ちた。スタッフ、選手も地震の恐怖、ライフラインの途絶、リーグで一番遅れた再始動、地元を離れての関東での合宿など数々の困難をともに乗り越えてきた。「われわれが勝ち続けることで1日も早く東北が元気になれば」と手倉森監督。再始動から指揮官が掲げてきた“東北の希望の光”になるために仙台は勝ち続ける。

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2011年4月24日のニュース