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途中出場者に甘い認識 名波浩氏指摘 日本優勝への課題

[ 2011年1月27日 13:59 ]

<日本・韓国>ドリブルで攻めあがる本田圭(中央)

アジア杯 準決勝 日本2―2(PK3―0)韓国

(1月25日 カタール・ドーハ)
 PK戦の末に日本代表は2大会ぶりの優勝に王手をかけた。日韓戦で見えた収穫と課題、オーストラリアとの決勝のポイントは何か。テレビ朝日の解説で現地でザックジャパンに密着取材している00年アジア杯レバノン大会MVPで本紙評論家の元日本代表MF名波浩氏(38)が分析した。

 120分を通して日本の方が韓国よりも頭を使って戦っていた。今できる全てのことを出し切った試合だったと思う。

 同点弾はパーフェクトだった。本田圭が相手3人を引きつけて左サイドにスルーパス。長友が車(チャ)ドゥリの裏を完璧に取りクロスを送った。前田はファーに行くフェイントを入れてからニアに入る得意の形でゴール。連係、相手との駆け引きともに素晴らしかった。長友はアシストシーン以外でも再三、左サイドを突破して、マッチアップした車ドゥリを圧倒した。車ドゥリは元FWで前への意識が強い半面、守備にもろさがある。一方の長友は自分の背後のスペースをケアする意識が高い。守備意識の差がサイドの攻防の明暗を分けた。

 本田圭の存在感は絶大だった。「守→攻」の切り替えが抜群に速く、味方を生かすパスも光った。強引さが目立った時期もあったが、今は“オレがオレが”ではなくチームのためにシンプルにプレーできている。周囲のレベルが上がり自分の思い通りのタイミングでボールを受けることができているから、自然と球離れも早くなっているのだろう。(延長前半ロスタイムに)5バック気味になってからは岡崎と話し合って自分たちで前線のポジションを修正していたし、ピッチ内で試合をコントロールできるようになってきたことも収穫だ。

 課題も見えた。最も気になったのは途中出場の選手。主審は相手に触れば反則ぐらいの判定基準だったが、途中で入った選手はその認識が甘かった。終了間際に許した同点弾も本田拓の与えたFKが起点。守備固めで投入された選手はいかに危険なゾーンにボールを運ばれないかを考えなければならないが、それができていなかった。最後に5バック気味にしたのはイタリア人監督らしい采配だが、最後の最後で踏ん張りきれなかったことは反省材料だ。

 決勝の相手のオーストラリアはピッチを大きく使いダイナミックな攻撃を仕掛けてくる。両ワイドにボールを預けてくるので、サイドバックの長友、内田が相手との引っ張り合いに勝てるかがポイントになる。ここまで失点1と堅守を誇り、GKとセンターバックの安定感は抜群。オーソドックスな攻撃で簡単にゴールを奪うことはできないので、個の力も重要になってくる。本田圭、香川が楽しくプレーできれば、勝利もついてくると思う。

 1次リーグから試合ごとに課題が出て、それを克服しながら決勝まで勝ち上がってきた。完璧な試合を続けて勝てるほどアジアは甘くないし、退場、逆転勝ち、PK戦などいろいろな状況を経験できていることはW杯予選に向けても大きな財産となる。決勝も厳しい戦いが予想されるが、優勝と準優勝では大きく違う。結果にこだわってプレーしてほしい。

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2011年1月27日のニュース