スポニチ大阪

TOKYOパラリンピックを担う『熱き心』

リオパラリンピック陸上、女子400メートルでの辻沙絵選手銅メダル獲得を伝える本紙紙面(9月16日付け)

 台風16号の襲来でシルバーウイークのほとんどが雨。予定していた楽しい旅行も台無しです。フィリピンの東方海上で発生したこの台風ですが、太平洋高気圧の西側へりを伝うように北東へ進み鹿児島県の枕崎付近に上陸しました。その後太平洋沿岸を東進、足摺岬、室戸岬、潮岬、伊良湖岬などの名だたる台風銀座を足早に通過しました。与那国島で66.8メートルの最大瞬間風速を記録したこの『岬めぐり台風』ですが、枕崎上陸時も945ヘクトパスカル、最大風速45メートルの勢力を保っていました。農作物にはかなりの被害をもたらしたものの、大規模ながけ崩れや洪水などの発生は少なく、大災害には至らなかったようです。先頃、東北、北海道に大きな被害をもたらした台風10号の教訓が少しばかり生かされたのかも知れません。地震とは違って避難の時間がある台風、迷わず逃げるが鉄則です。自分の命は自分で守るを念頭に避難準備情報段階からの素早い対応が肝心です。

 山口県周南市で8月に開催された今年の全国高校総体(インターハイ)、女子ハンドボールで46年ぶり2度目の優勝を果たした茨城県立水海道第二高校は、リデジャネイロパラリンピック女子陸上400メートル(切断などのT−47クラス)で銅メダルを獲得した辻沙絵選手(21)の母校です。出身は北海道・七飯町。彼女には生まれつき右腕の肘から下がありません。生まれながらのハンデキャップをものともせず、15キロ離れた函館の鍛神(たんしん)小学校でハンドボールを始めたのは5年生の時です。その後、冒頭で紹介したハンドボールの名門、茨城県立水海道第二高校に留学、同校をインターハイでベスト8に押し上げるなど大活躍しました。大学はまたまた名門中の名門日体大にスポーツ推薦で入学、健常者の選手とも互角に渡り合いました。キャッチング、ハンドリング、ドリブルなど健常者でも難しいハンドボール競技に左手一本で立ち向かったその根性と努力はいかほどだったか、想像しただけで熱いものがこみ上げてきます。

 右手を使えない厳しい状況での競技生活。左膝の十字靱帯を痛めるなどケガに見舞われ、大好きなハンドボールを断念しました。当時の監督の勧めもあって、大学3年の2015年3月に陸上に転向、持ち前の脚力でメキメキと頭角を現しました。今年4月の日本選手権では100m、200m、400mで3冠を達成、リオパラリンピックの有力候補となりました。銅メダル獲得後のインタビューで『いろんなものを犠牲にして今ここにいる。支えて下さった皆さんに感謝します。2020年まではまだ4年間ある。そこに向けてトレーニングしたい。やっぱり金メダルがいいなあ』ときっぱり語った彼女。東京パラリンピックでの活躍がますます楽しみになってきました。

(スポニチプラザ大阪総支配人・厨子雄二)

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