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望海風斗が見事な主役ぶり披露…花組新人公演「太王四神記」


「太王四神記」新人公演の望海風斗(C)宝塚歌劇団

 花組公演、幻想歌舞劇「太王四神記〜チュシンの星のもとに」(小池修一郎脚本、演出)の新人公演が、20日、宝塚大劇場で行われた。また、その日の朝には、宙組のトップスター、大和悠河の退団発表会見が大阪市内のホテルであった。今回はそれらの模様をあわせて報告しよう。

 「太王ー」は、1本立ての大作であることから、新人公演は時間の関係で抜粋版。プロローグの神話時代を大幅に短縮したほかは第1幕、第11場を割愛しただけであとのストーリー部分はほぼそのまま。ただしフィナーレのショーはカット、それでも約1時間50分あった。新人公演メンバーのなかでも若手を中心にした配役だったが、いずれもパワフルな演技で見応えがあった。

 タムドク(本役・真飛聖)は初主演となった望海風斗(のぞみ・ふうと)。前回「愛と死のアラビア」新人公演では大空祐飛が演じた役を手堅く演じ、印象的だったが、今回は堂々の主演。 研6とは思えない押し出しのある力強い演技と自信に満ちた歌声。セリフ、歌詞の口跡もクリアでよく伸びる歌声とともに見事な主役ぶりを披露した。青年の成長物語でこれといった難しい心理描写がなかったのも幸いした。あとは自分をいかに魅力的に見せるか、いい資質をもっているので男役の美学を身につければさらに伸びるだろう。 最後の挨拶では、堂々とした舞台姿とは裏腹に感極まって思わず涙声になる一幕もあり、感動的なフィナーレとなった。

 大空が演じたホゲには研4の鳳真由が抜擢された。これまでこれといった目立った役についた記憶はないが、タムドクと互角にわたりあうホゲを体当たりで演じた。大役にひるむことなく堂々と役に立ち向かったのは大いに買える。身につける雰囲気とかはまだまだ幼いが、役に負けていない気迫が感じられたのがよかった。

 その点キハ(桜乃彩音)を演じた野々すみ花は、本公演やバウ公演、さらに最近では「銀ちゃんの恋」などヒロイン経験も豊富で、舞台の空気を読む落ち着いた演技で2人を引っ張った。特にヤン王自害の見せ場は、表情、演技にも工夫がみられ、なかなか見事だった。

 一方、火天(ファチョン会の大長老プルキル(壮一帆)に朝夏まなとを配したのも大成功だった。すでに新人公演の主演を重ねている朝夏が、この悪の長老を華やかにしかも華やかにしかもきりっと演じきり、舞台を引き締めた。

 スジニ(愛音羽麗)は白華れみ。ボーイッシュな雰囲気がよく似合い、とにかくかわいい。出だしこそちょっと気負いすぎたかセリフがうわずったが、全編テンション高く演じきり、男勝りの少女の感じをよくだしていた。本公演の愛音とは違った役の魅力を表現していた。

 あとヒョンゴ(未涼亜希)の真瀬はるかも大健闘、ヤン王(星原美沙緒)の扇めぐむ、ガリョ (夏美よう)の祐澄しゅんも手堅く、存在感があった。ビジュアルではサリャン(華形ひかる)の嶺乃一真とチョロ(真野すがた)の瀬戸かずやがひときわ目を引いた。

 新人公演があった日の朝、大阪市内のホテルで宙組トップ、大和悠河の退団発表会見があった。

 純白のパンツスーツで姿を見せた大和は、緊張もなくリラックスした雰囲気。「昨年の”雨に唄えば”の公演が、とても楽しく充実していたので、あと1年とゴールを 決めて全力疾走しようと思った」と退団を決意した理由を淡々と話した。退団後は「まだ何をするかまったく決めていません」と白紙を強調。「宝塚が好きなので、宝塚ファンに戻りたい。結婚という気分ではありません」と話して笑わせた。相手役の陽月華には発表の2日前に報告したそうで「一瞬、後ずさりされてしまいましたが、落ち着いてからは最後まで一緒に頑張りましょうと納得してくれました」とその時の様子を披露した。 宝塚きっての美男美女コンビは結局、本公演3作でおわってしまうが、サヨナラ公演は是非有終の美で飾ってほしい。

 星組の次期トップコンビは柚希礼音、夢咲ねねと発表されたが、宙組の次期トップはこの日はまだ発表されなかった。


 さて来週更新は宙組中日劇場公演の模様を報告します。お楽しみに。(薮下哲司)



● 薮下 哲司(やぶした・てつじ) ●
大阪府生まれ。関西大学文学部仏文科卒。71年スポーツニッポン新聞大阪本社入社。77年文化部に配属、放送、音楽などを担当後、現在、特別委員として映画、演劇を担当している。宝塚歌劇は80年から担当、劇団発行の「宝塚グラフ」バウ公演評「歌劇」新人公演評を歴任。著書に「宝塚の誘惑」(共著)「宝塚伝説」「宝塚伝説2001」「宝塚歌劇支局」(青弓社刊)がある。05年、毎日文化センター(大阪)で「タカラヅカの魅力」講座を開設、07年から甲南女子大学非常勤講師に、宝塚講座を持っている。

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