霧矢大夢の“大阪弁”はハマり役!! 月組「大坂侍」バウホールで開幕
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「大坂侍」の霧矢大夢(右)と夢咲ねね(C)宝塚歌劇団
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月組の人気男役スター、霧矢大夢を中心にしたバウ・なにわ人情ミュージカル「大坂侍〜けったいな人々」(司馬遼太郎原作、石田昌也脚本、演出)が、宝塚バウホールで開幕した。今回はこの模様を中心に報告しよう。
幕末、大政奉還後の大坂(当時は阪ではなく坂と書いた)。霧矢扮する貧乏同心・鳥居又七を主人公に、大坂人の心意気をエネルギッシュに描いた時代劇コメディーだ。
「維新回天・竜馬伝!」で、坂本竜馬の大胆でナイーブな青春像を巧みに描出した石田氏が、今度は江戸でもなく京都でもない大坂という土地を背景に、幕末の雰囲気を見事にとらえ、霧矢らの好演もあって、なかなか見応えのある楽しい作品を作りあげた。作品に恵まれなかった霧矢にとっても代表作のひとつになるだろう。
川方同心の又七はまじめ一方の貧乏侍。豪商、大和屋源右衛門(箙かおる)の娘お勢(夢咲ねね)はそんな又七にぞっこん。大和屋も娘のためにも又七を婿養子にして店を継がせたいと考えているのだが、肝心の又七はいまひとつ煮え切らない。又七は病身の父(北嶋麻実)から、徳川家最後の奉公として彰義隊への入隊を請われていたのだった。
司馬遼太郎の原作は短編だが、時代と大坂という場所の設定が巧妙で、実に面白い。石田氏はこれに大阪弁という生の舞台ならではのパワーを注入、生活感あふれる舞台を現出させた。
霧矢は、大阪弁の芝居を水を得た魚のように、楽しげに演じ、まさにはまり役。サブタイトルにある”けったい”な男ではなくごく普通のナイーブな若者という設定。これがいい。
”けったい”なのは霧矢をめぐる周囲の人間で、まず又七を追いかけるお勢。この夢咲もぴったりの適役。わがままでおてんばな豪商の一人娘が、見事に生きている。
次に未沙のえる扮する又七の師匠渡辺玄軒と大和屋源右衛門の箙かおる。この未沙と箙のカーテン前のかけあいに「M1グランプリ」の垂れ幕が出るお遊びはちょっと行き過ぎとしても、2人の達者な芝居がどれほどこの舞台をコクのあるものにしているか。やくざの親分、黒門久兵衛に扮した嘉月絵理もその存在だけで威圧感がある。
若手も快調。まずは又七の手下、極楽の政に扮した龍真咲。上り坂の若手特有の華が舞台いっぱいに立ちこめる。又七の妹、衣絵(麻華りんか)の許婚、数馬の青樹泉は一瞬、彼女とは分からないようなメークで頼りない二枚目半ぶりを好演。そして唯一敵役的な存在である天野玄蕃に扮した星条海斗も霧矢と堂々と渡り合い、貫録すら漂わせた。作劇的にもこの天野の存在でストーリーに大きな振幅が出来た。
娘役陣も豆奴の花瀬みずか、お善の瀧川末子と芸達者なメンバーが脇を固め、舞台を締めた。
あとフィナーレの着流しのダンス(藍エリナ振付)もダイナミックで新鮮。日本もののこれだけ激しい洋舞は久々に見たような気がする。
一方、春野寿美礼が光源氏に扮する花組公演「源氏物語あさきゆめみしII」(7月7日から大阪・梅田芸術劇場)の会見もあり、春野らが抱負を語った。
演出の草野旦氏によると、内容的には光源氏の後半生を中心にした2000年初演版とほぼ同じだが、新曲を加えたりフィナーレを新たに増やしたりとかなりのバージョンアップをはかるという。
春野は「光源氏は宝塚の多くの先輩方が演じてこられた役で、最初に聞いたときは驚きましたが、その驚きを情熱に変えて頑張りたい」と力強い抱負。一方、藤壺と紫の上の2役を演じる桜乃彩音は「大好きな原作の2役を演じることができて幸せです」と控えめに喜びを表していた。
さて、来週は雪組「エリザベート」新人公演の模様を報告します。お楽しみに。(薮下哲司)
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● 薮下 哲司(やぶした・てつじ) ●
大阪府生まれ。関西大学文学部仏文科卒。71年スポーツニッポン新聞大阪本社入社。77年文化部に配属、放送、音楽などを担当後、現在、特別委員として映画、演劇を担当している。宝塚歌劇は80年から担当、劇団発行の「宝塚グラフ」バウ公演評「歌劇」新人公演評を歴任。著書に「宝塚の誘惑」(共著)「宝塚伝説」「宝塚伝説2001」「宝塚歌劇支局」(青弓社刊)がある。05年、毎日文化センター(大阪)で「タカラヅカの魅力」講座を開設、07年から甲南女子大学非常勤講師に、宝塚講座を持っている。 |
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