スポニチ大阪

初の「韓国公演」大成功 湖月ら37人の「ベルばら」に満員の観客大喜び

「ベルサイユのばら」の湖月わたる(左)と白羽ゆり(C)宝塚歌劇団


 日韓国交正常化40周年を記念した宝塚歌劇団初の韓国公演(韓国観光公社など主催)が、11日から13日までソウル市内の慶煕(キョンヒ)大学「平和の殿堂」で開催された。今回は、星組のトップスター、湖月わたるら37人が華やかなレビューを繰り広げたこの模様をお伝えしよう。

 ソウル市北東部、慶煕大学の構内にある「平和の殿堂」は、パリのノートルダム寺院を模したゴシック風の豪華なホール。市街地からやや離れているが、今回の目玉であるフランス革命を背景にした「ベルサイユのばら」上演にはうってつけのシチュエーション。初日には原作者の池田理代子さんら日本からのツアー客、現地のファンらが続々とつめかけ、定刻までに広い会場は約2700人でほぼ満員。現地での期待の大きさがうかがえた。

 湖月の韓国語による開幕アナウンスに早くも大きな拍手が巻き起こり、観客は華やかな「ベルサイユのばら」の世界に引き込まれていった。なかでもフェルゼンがアントワネットを救出するためにフランスへ出発するくだりでマントを翻して客席におりて走りだすと「ウォーっ!」という歓声が。

 原作は韓国でもよく知られており、加えて舞台両脇には韓国語字幕もあって反応は上々。白羽ゆり扮する王妃マリー・アントワネットが断頭台の露と消えるラストシーンが終わると大きな拍手に包まれた。休憩中の現地ファンの反応も「全員が女性が演じているのは新鮮だった」(26歳男性)「期待以上に豪華ですばらしかった」(22歳学生)など好意的だった。

「天国の階段」の主題歌を韓国語で歌う安蘭けい(C)宝塚歌劇団


 休憩後の「ソウル・オブ・シバ!」は、いきなり手拍子が起こるほどの熱気。湖月と立樹遙の「プルコギでも食べてこい」「やった!」などアドリブによる韓国語のセリフには場内から思わず笑いももれた。

 フィナーレは柚希礼音を中心としたラインダンスでまず盛り上げ、シバ神に扮した安蘭けいが登場してドラマ「天国の階段」の主題歌「会いたい」を流暢な韓国語で歌いだすと、場内は大歓声に包まれた。続く湖月ら男役陣の燕尾服のダンスも「すみれボレロ」に「アリラン」のメロディーをからませた韓国バージョンでかっこよく決めた湖月に大きな拍手と歓声が送られた。続く大きな羽根を背負ってパレードでは興奮も最高潮。いったん降りた幕があがったあと組長の英真なおきがまず御礼のあいさつを述べ、続いて湖月が「カンサハムニダ(ありがとうございました)」と韓国語で話し出すと歓声とともに大きな拍手が巻き起こった。感極まった湖月が韓国語のあいさつを忘れ、立ち往生しても声援は途切れず、湖月が日本語で「またあいましょう」と叫ぶとまたまた大歓声に包まれた。2度目のカーテンコールではついに観客総立ちの拍手、大きな盛り上がりのうちに初日の幕を閉じた。

 終了後、舞台裏で会見した湖月は「街で韓国の方から声をかけて頂き、とても驚きましたが、今夜もみなさんすごく温かい反応でうれしかったです。韓国に来られて本当によかった」と感想。韓国語の歌を歌った安蘭も「喜んでくださっているのが舞台からも分かりました。稽古期間が短くて覚えられるかなと心配したのですが、懸命に稽古したかいがありました」と日韓友好の一端を担えた喜びをかみしめていた。

 ロビーにはポスターを前に記念撮影する家族連れの姿や、客席では涙を流して拍手する韓国人女性の姿もあちこちで見られ、韓国にも熱心な宝塚ファンが、公演を待望していたことがうかがえた。公演自体も「ベルサイユのばら」に全国ツアーではカットされていたオスカルとアンドレの見せ場であるバスティーユの場面が復元され、作品自体がぐっと締まったのをはじめ、ショーも少ない人数にもかかわらず、全員のパワーが舞台を熱くしていた。テープの音量がやや小さく、場所によっては聞きづらいところがあったのは残念だったが、客席を使った演出が観客との一体感を生み出すのに効果的だった。

 初日を観劇した池田さんも「客席からすすり泣きの声が聞こえ、感激しました。文化での韓国との距離が縮まったことを実感しました」と話していた。

 ちなみに韓国公演の入場料は、最高が12万ウオン(約1万2000円)続いて8万ウオン(約8000円)5万ウオン(約5000円)の3段階。国内より割高だが、ソウル市内で上演中のミュージカル「アイーダ」韓国版公演が10万ウオン(約1万円)ということで「そんなに高いという感覚はない」(韓国演劇関係者)とか。CM効果もあって前売りは好調で、発売予定のなかった見切り席も追加発売するほどだという。

 さて、来週更新分は、雪組全国ツアーの模様をお送りします。また、15日スポニチ本紙宝塚特集は「ベルばらと私」の6回目。花組の春野寿美礼の登場です。こちらもお楽しみに。(薮下哲司)





● 薮下 哲司(やぶした・てつじ) ●
大阪府生まれ。関西大学文学部仏文科卒。71年スポーツニッポン新聞大阪本社入社。77年文化部に配属、放送、音楽などを担当後、現在、特別委員として映画、演劇を担当している。宝塚歌劇は80年から担当、劇団発行の「宝塚グラフ」バウ公演評「歌劇」新人公演評を歴任。著書に「宝塚の誘惑」(共著)「宝塚伝説」「宝塚伝説2001」「宝塚歌劇支局」(青弓社刊)がある。05年、毎日文化センター(大阪)で「タカラヅカの魅力」講座を開設、07年から甲南女子大学非常勤講師に、宝塚講座を持っている。

大阪企画特集
スペシャルコンテンツ

このページの先頭に戻る ▲