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九州工業大アメフット部

 【90年創部以来悲願の初昇格、秀才軍団食らいつく】

 初の1部でも暴れる――。九州、山口の大学、高校の部活動を取り上げるスポニチキャンパス。今回は九州工業大のアメリカンフットボール部「WILD GEESE」(ワイルド・ギース)を紹介する。今年の2部リーグで優勝、入れ替え戦を制し、1990年(平2)の創部以来初の1部昇格を決めた。歴史をつくったメンバーに話を聞いた

来季は初の1部に殴り込む九州工業大のアメフット部

 チーム名の「ワイルド・ギース」は野生の雁という意味。雁は群れで隊形を組みながら空を飛ぶ。アメフットにはさまざまなフォーメーションがあり、そう名付けられた。90年の創部から四半世紀が過ぎ、今年新たな歴史をつくった。念願の1部昇格をつかみ、WR/DBの和才圭太朗主将(4年)は「最高の形で引退できてうれしい」と声を弾ませる。

 九州学生アメリカンフットボールの2部リーグはA、Bに分かれており、九工大はBに所属。A、Bの首位チームが順位決定戦を行い、勝者が1部の最下位と入れ替え戦を行うシステムだ。15年に初めて入れ替え戦まで進むも福教大に7―14で惜敗。今季は2年ぶり進出の入れ替え戦(11月23日)で琉球大を17―14と逆転で下し、初昇格を決めた。「やっといけた!という思い」とWR/Kの田原(たばる)司(3年)は感慨を込める。

 昨年までランプレーが主体だったが、QBの田代裕基(2年)が成長して、パス攻撃が加わって攻撃の幅が出た。熊本大戦、佐賀大戦では無失点に抑えるなど、守備陣もシーズンを通して安定。攻守がかみ合った。

 来季の新主将には「監督ですか?とよく聞かれる」と笑うOL/DLの呉尚昂(なおあき・3年)が就任。1メートル86、130キロと大柄でマークされることも多いが、「自分のおかげでタッチダウンができればいい」と果敢に体を張る。1部は西南大、福岡大など強豪ぞろいで、選手層が違うのは百も承知。「食らいついていきたい。1部で戦う基礎をつくっていこうと思う」と奮闘を誓う。

新チームの主将に就任する呉

 ほとんどの部員が九州出身だが、九州の高校にはアメフット部が一つもないため、全員が初心者からのスタートだ。そのため用具購入の負担が大きく、アルバイトで工面する部員もいる。環境に恵まれず、辞めていく部員もいるのが実情だ。グラウンドに照明設備はなく、冬はすぐに真っ暗になる。用具の消耗が早い土のグラウンドなどの悪条件を乗り越えてきた。

 数々の苦難を克服してきた部員たちは「金属にどのような力を加えたら浸食するか」を研究するマテリアル工学科の田原ら秀才ぞろい。厳しい戦いは覚悟の上で、持ち前の芯の強さで1部のチームに食らいついていく。

 ▽九州工業大学 1909年(明42)に私立の明治専門学校として開校。1949年(昭24)に新制国立大学として現校名で設置される。学部は、工学部と情報工学部。戸畑、飯塚、若松にキャンパスがあり、戸畑キャンパスの所在地は福岡県北九州市戸畑区仙水町1の1.数々の科学者や技術者を送り出し、スポーツ部の主なOBはプロ野球・横浜などで活躍した田崎昌弘。

【QB田代 パス進化で攻撃に幅、NFL見て研究】

パス攻撃が良くなったQBの田代

 成長株の2年生QB田代。パスの起点となるポジションだけに、正確性、状況判断力が求められる。「攻撃の中心なのでプレッシャーはあります」と話す。

 NFLのハイライト番組や動画を見て研究する努力家はジャイアンツのWRオデル・ベッカムに憧れている。来季へ向け「チャレンジャーなんで思いっきりやりたい」と力を込めた。

 ≪動画共有サイト活用≫チームは2年前からマネジャーが撮影した練習風景、ポジションごとに分かれた練習などを動画共有サイト「Hudl(ハドル)」にアップする取り組みを始めた。授業の関係で練習に全員がそろわないこともあるためだ。いつでも、自分の映像を確認することができ、新主将の呉は「一つ、一つのプレーごとに分けてくれるのがいい」と話した。

 ≪OBのコーチも期待≫OBの関裕崇コーチ(27)は観客席の上部にあるスポッター席からヘッドコーチに作戦を伝える役割を担当している。「OB以外の一般の方が見ても、応援してもらえるチームになってほしい」と後輩に期待している。同じくOBで社会人チーム福岡SUNSでプレーする小副川(おそえかわ)裕太コーチ(24)は「チームとして凄くまとまっている。まずは1勝して、1部に残ってほしい」と話していた。

【女子マネジャー3人が選手サポート 2年生・太田さんがリーダー】

マネジャーの太田さん

 選手を支えるマネジャーは3人。リーダーは幸(ゆき)ちゃんの愛称で愛される太田幸子さん(2年)だ。

 入学時の部活紹介を見て「ユニホームが格好いい。ヘルメットも金色で選手もマッチョだし…」と目を奪われ入部。仕事内容は、練習のビデオ撮影、練習メニューの時間管理など多岐にわたる。残り2人は、学校近くの西南女学院大に在籍する1年生。1人でも休めば、選手に手伝ってもらうだけに「欲を言えばもう少しマネジャーが増えたらうれしい」と望んでいる。

 最初はルールも分からなかったアメフットだが、最近は目線が変わってきた。「大きい人たちの力がないとタッチダウンはできない」と大柄な選手が多いディフェンスラインに目がいくようになったという。

 「偉そうなことは言えないけど、1部で戦っていける体づくりをしてほしいです」。来季もマネジャー陣が全力で選手をサポートする。

[ 2017年12月21日 ]

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