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久留米工大硬式野球部

 【1部復帰だけじゃ物足りない!?出るぞ来春全国大会】

 九州全域、山口の高校、大学の部活動を取り上げるスポニチキャンパス。今回は久留米工業大の硬式野球部に焦点をあてる。1部リーグから降格した今秋は2部リーグで全勝優勝を果たした。野田剛史監督(39)の下、来春は再び1部に殴り込むナインが大暴れを誓った。

1部昇格を決めた久留米工大硬式野球部

 ジェットコースターのような1年だった。初めて2部降格、そこで優勝を味わったナインはたくましくなり、来春へ走りだそうとしている。主将の寺松修一捕手(3年)は「来春は全日本選手権に出たい」と初の全国大会出場を誓った。

 昨春から2部制が始まった九州地区大学野球連盟の北部九州ブロック。チームは1部で昨春4位、昨秋3位と順調に歩んでいるように見えた。だが今春は9敗1分けの最下位に低迷。3季在籍した1部から2部降格の試練を味わった。元主将の野崎大地内野手(4年)が1部と2部の違いを語る。

 「やっぱりモチベーションですね。相手も正直、かなりレベルが落ちるんです」

 3位以内に入れば全国大会の道が開ける「1部」と違い、優勝しても昇格だけしかない「2部」では物足りなく感じる選手がいるかもしれない。

 野田監督も「心配だった」とモチベーションの低下を懸念した。それは杞憂(きゆう)だった。4年生は春シーズンを最後に野球部から退くのが一般的だが、野崎は今秋もチームに残った。大学卒業後も社会人でプレーする予定。そして男の意地があった。「僕が春に2部に落とした。1部に上げなければ引退できない」。主将の寺松をサポートしながら仲間を引っ張った。MVP(最優秀選手賞)、三塁手のベストナインを獲得する活躍で8戦全勝の優勝に貢献。ようやく「役目は果たせたかな…」と安どした。最後に参加したミーティングで後輩にハッパをかけた。「2部で引退するやつが出てくるな!」。もう2度と降格の悲哀を味わうことがないよう願っている。

チームをけん引してきた野崎

 チームは夏になれば佐賀県嬉野市で約1週間の合宿を実施する。約20年続く伝統行事ではオープン戦もあれば、酷暑の100本ノックもあり、夜間は個人練習に充てる。とにかく野球漬けで己を磨く。ここからメンバーを選抜して関西遠征に出陣。3年目の今年は、春の全日本選手権に出場した京都学園大などと対戦し、和歌山大から勝利を挙げた。

 野田監督は「大事なのは適応力。相手の情報が少ない中でも1、2打席目で捉えられるか」と言う。対戦中に得られた情報をチーム全体で共有し、下位に打順が回る頃には、未対戦でも相手投手のボールをイメージできる状況をつくるのが理想。関西遠征で選手の対応力が磨かれたという。

 野崎は元々、投手だった。1年時に右肩を痛め、野田監督から「バッターもやってみらんか」と勧められ、“二刀流”を開始。2年秋は4番、3年春から1番で起用されるなど打撃も開花した。夢がある。「第1の目標は社会人で活躍してプロ。第2の目標が母校(敬徳・佐賀)の教壇に立つこと」。そのために精進する。

 来春のリーグ初戦は北部ブロック1位の日本文理大と対戦する。いきなり大一番を迎えるが、野崎は「打線は乗ったら止まらない。全国を目指してほしい」と後輩たちの奮起を確信している。

 ▽北部九州ブロック大会1部リーグ 久留米工大は来春、日本文理大、近代産業理工学部、別府大、長崎国際大、西日本工大と覇権を争う。2回戦総当たりで勝率により順位決定。1位のチームは全日本大学選手権に出場できる。

【堀田は“投手兼主務”、専任マネジャー置かず】

投手&主務の二刀流・堀田

 二刀流は野崎だけではない。堀田智裕(3年)は昨秋から“投手兼主務”の二刀流だ。

 部の方針は「好きな野球を思う存分やる」で、本人が希望しない限り、マネジャーの仕事は選手兼任で行う。ケガなどで練習参加できない選手がマネジャーの仕事をこなす場合が多い。故障者不在なら、選手の誰かが兼任しなければならない。野田監督らに責任感の強さを買われ、堀田は平島コーチと二人三脚で仕事をこなす。その内容は部費や遠征費の徴収、試合のスケジュール調整など。「主務の仕事の流れは分かった。選手7、主務3でやってます」と話す。

 城北高(熊本)時代の14年夏は背番号13を付け、甲子園に出場。試合で出番はなかったものの、貴重な経験を積んだ。投手としては最速130キロながら縦に割れるカーブが武器だ。「打たせて取る制球重視スタイルです」と自己分析する。まだ夢は決まっていない。「草野球でもいいから続けたい」と野球への情熱は誰にも負けない。 

【強肩の寺松主将】

現主将で強肩の寺松

 主将の寺松は二塁への送球タイムが1・9秒という強肩を誇る。一般的に2秒を切れば速いと言われ、チームにとって頼もしい存在だ。古田敦也(元ヤクルト)、矢野燿大(元阪神)、嶋基宏(楽天)の名捕手たちが出演したテレビのトーク番組が印象に残っている。

 「意味のないボールは投げさせるな」という言葉を胸に刻み、積極的なリードを心がけている。


【野田監督「地元で野球したい生徒の受け皿に」】

久留米工大の野田監督

 福岡県の久留米市以南に位置する大学で硬式野球部があるのは久留米工大、久留米大の2校だけ。佐賀には硬式野球部がある大学はない。野田監督は「地元で野球をしたい生徒の受け皿になれれば」と話す。部員の大半は実家から通っている。野球部に寮はなく、他県など遠方出身の学生はアパート暮らしだ。

 地域とのつながりを大切にしている。毎年10月には大学が「久留米大学旗争奪少年野球大会」を主催。グラウンドを中学生に譲るため、その整備に部員が取り組み、大会運営に協力している。

 “武者修行”の関西遠征、“地獄”と称される佐賀・嬉野キャンプなどを通じ、チームの一体感を醸成しながら鍛えてきた。「一つのことを徹底してやれるチームを目指したい」。選手たちの可能性を信じ、指導に熱を入れている。

 ≪27歳平島コーチ、熱血指導手応え≫27歳の平島千義コーチが監督の右腕として情熱的に指導にあたる。「(選手たちは)野球に対して元気で素直。冬は個々の能力をアップさせたい」と全体の底上げを狙う。3年連続で実施した関西遠征にも手応えを感じており「昨春、昨秋にリーグで日本文理大に1勝できたのは、そのおかげだと思う」と話した。

 ▽久留米工業大 福岡県久留米市上津町の私立大学。1966年(昭41)創立。大学院3専攻と工学部に機械システム工学科、交通機械工学科、建築・設備工学科、情報ネットワーク工学科、教育創造工学科の5学科を設置する。九州自動車道の久留米インター~広川インター間の国道3号線沿いに立地している。

[ 2017年10月26日 ]

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