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近大産業理工学部硬式野球部

 【夢の神宮すぐそこ 初の全国大会へ着実にチーム力UP】

 全国制覇を目指し、まずは九州制 九州各県と山口県の大学、高校の部活動にスポットを当てるスポニチキャンパス。今回は福岡県飯塚市にある近大産業理工学部硬式野球部に注目する。09年に創部され、専用グラウンドと指定寮を完備。学校生活、学習面も個別指導するなど、野球と学業の両立に励んでいる。チームの目標は初めての全国大会出場。目標に向かって奮闘する選手たちに話を聞いた。

初の全国大会出場を目指す近大産業理工学部ナイン

 夕焼けが広がる飯塚の街の空に、ノックを受ける近大産業理工学部ナインの絶叫がこだましていた。全寮制を敷く野球部は09年に創部。就任9年目に突入した肘井利一監督(47)の指導方針は大学4年間だけでなく、先を見据えたものだ。

 「大事なのは社会に出てからの人間性ですね。選手たちは4年間を寮で過ごし、人間的に成長してほしい。30歳になったとき“いいオヤジ”になってもらいたい」

 練習は1日約3時間半。部員74人は寝食を共にする。先輩、後輩がペアとなる2人部屋はトイレ、バス付き。おかわり自由という食堂の人気メニューは“断トツ”でカレーだ。夕食後の食堂では勉強会も開かれる。「互いに教えあったりします。勉強になったら頭が上がらないヤツもいますね」とエース・屋比久大人(やびく・ひろと)投手(4年)は苦笑いする。

 昨秋の「1勝」はチームに勇気を与えた。明治神宮大会出場を懸けた九州大学野球選手権。九州地区大学連盟3位で出場し、1回戦で強豪・九産大に4―3で勝利。先発した屋比久が、今秋ドラフト候補の草場亮太との投げ合いで踏ん張り、同大会2度目の出場で初勝利を挙げた。「俺らでもやれる、というのが分かった」と外野手の橋本一輝主将(4年)だ。「あの九産大に勝って自信がついた」と貫亮太外野手(4年)も証言する。

 チーム躍進には理由がある。一つは3年前から夏季休暇を利用して実施する関東遠征だ。昨夏は創価大と対戦した。田中正義(現ソフトバンク)、池田隆英(現楽天)という、のちにプロ入りする2投手らのリレーに1安打零敗。それでも得るものは大きかった。「田中投手の球は速かった。関東のチームと戦ったのは大きかった」と橋本。そして社会人のJR東日本とも対戦。強豪とぶつかった経験が九産大撃破につながった。

キャッチボールをする宮崎

 意識改革も断行した。それまで練習メニューづくりは監督やコーチが主導していた。昨秋リーグ戦前から選手の自主性を引き出すように変えた。橋本主将は「どこがチームの弱点かを考えて、監督にも相談して始めた」と振り返る。4年生を中心とした上級生がミーティングを重ねメニューを考案。6時30分開始の朝練ではイニング数を限定した紅白戦も始めた。全寮制でメンバーが最も集まりやすい授業開始前に集中して実戦練習を重ねた。“早起きは三文の徳”という言葉は真実だった。リーグ戦の第1試合は午前9時に開始される。主に指名打者で出場する宮崎正智(4年)は「朝からの対応力がついた」と予想しなかった効果を明かす。

 九産大に勝利した九州大学野球選手権では、2回戦で西南大に2―6で敗れた。決勝トーナメントが行われるヤフオクドームへの切符を逃した。同じリーグに所属する日本文理大が神宮への切符をつかみ、悔しさは倍増。「まともにプレーしたら(日本文理に)勝てるのに…」と宮崎。自然とナインの練習にも熱が加わったという。

 今春のリーグ戦は2位。日本文理大の後塵(こうじん)を拝し、全国大会まで、あと一歩だった。「リーグのレベルも上がって気が抜けない」と橋本は前を向く。秋のリーグ戦を前に、この夏も関東遠征を実施する予定。「神宮で1勝すること」というチーム目標へ歩みを止めない。

 ▽近畿大産業理工学部は九州地区大学野球連盟の1部リーグに所属。ほかに日本文理大(大分県)、長崎国際大(長崎県)、別府大(大分県)、西日本工業大(福岡県)、久留米工業大(福岡県)が所属している。春のリーグ戦では7勝3敗。日本文理大に次ぐ準優勝だった。

 ▼近大産業理工学部 近畿大学に設置されている学部の一つで福岡県飯塚市柏の森に所在する。1966年(昭41)開設。学部は野球部の全員が所属する経営ビジネス学科、生物環境科学科、電気電子工学科、建築・デザイン学科、情報学科がある。

【重久マネ 頼もし縁の下の力持ち】

練習するナインを見つめる重久マネジャー

 チームを支えるマネジャーは重久良太(2年)だ。「誇りを持ってやっています」と胸を張る。選手兼任のマネジャーが他に1人いるものの“専属”は重久のみ。キャッチボールの相手役やグラウンド整備を担い、効率よく練習できるよう全体に目配り気配りを心がける。首脳陣不在の際はノックバットを握るという。

 福岡県田川市生まれ。高校は強豪の広陵(広島)に進学した。「層が厚くレギュラーとしては厳しかった」と振り返る。同校野球部では、4月に新2年生からマネジャーを1人選出、その方法は当該学年の選手たちによる話し合いだ。重久は縁の下の力持ちとしてチームを支えることを自ら選んだ。卒業までの2年間は貴重な時間だった。「試合に出てる人がかっこいいのは、裏で支える人がいるから、かっこよくできるんだと思った」。裏方業の大切さを実感。進路を決める際は広陵高の中井哲之監督に「マネジャーができる大学へ行きたいです」と相談。肘井監督がいる近大産業理工学部を薦められたという。

 大学での裏方は2年目。各選手の個性を把握し、視野も広がったという。「投手も野手も雰囲気が良いです。監督、コーチと選手のうまい橋渡し役になれれば」と話した。

【必由館出身の左腕・屋比久 集大成飾る】

投球練習する屋比久

 エース屋比久は、プロ野球の阪神・岩貞、ヤクルト・山中らを輩出した必由館高(熊本)出身の左腕だ。

 昨秋の九産大戦を振り返り「向こうには2学年後輩の浦本がいるので負けられなかった」と先輩の意地を見せた。大学では1年春から登板しており、今秋は集大成となる。卒業後は社会人で野球を続ける予定で「神宮に行くことを目指して頑張りたい」と意気込んだ。



【清峰OB貫と“長崎対決”、波佐見OB橋本に軍配】

練習に打ち込む貫

 軍配は主将に上がった。波佐見高出身の橋本主将と清峰高出身の貫。2人の最近の楽しみは長崎県における母校の活躍だった。ともに甲子園の土を踏めなかっただけに、後輩たちの活躍には大注目。「よく話題になった」と橋本。「今年は行けそうだなと思ってました」と貫。決勝で両校は対戦し、波佐見が延長10回4―2で清峰を破り16年ぶり3度目の甲子園切符を手にした。

[ 2017年7月27日 ]

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