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九共大ラグビー部

 【九州制圧→全国制覇狙う 大所帯97人を木下主将引っ張る】

 全国制覇を目指し、まずは九州制圧だ!九州各県や山口の大学、高校の部活や注目選手を応援するスポニチキャンパス。今回は九州共立大ラグビー部が登場する。部員97人は九州では、いちばんの大所帯。武骨な木下晋朗(ゆきと)主将(4年)を中心にまとまり個々の成長、そしてチーム強化に励む。

九州共立大ラグビー部のメンバー

 戦国時代の武将、山中幸盛(通称・鹿之助)は主家・尼子家の再興を目指して奮闘した。三日月に「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」と祈った逸話がある。目標達成が容易になるよう願うのではない。あえて、いばらの道を求める。困難を乗り越えてこそ“自己実現”に近づける、という考え方だろう。

 九共大ラグビー部にも山中鹿之助の逸話に通じる精神を感じる。今季は「FIST」というスローガンを掲げた。松本健志監督(34)は、拳(こぶし)を意味する英単語が4つのキーフレーズの頭文字を取ったものだと説明する。(1)For The Team(チームのために)(2)Individual(個人)(3)Strongest(最強)(4)Tough Choice(困難な選択)。選手はもちろん、スタッフを含めたチームの構成メンバーそれぞれが日々のたゆまぬ努力で困難な課題を克服し、レベルアップしていく。そしてチームのために一丸となり働くことで最強に近づける。同監督は「Enjoy Rugby」という言葉の解釈にも持論がある。

夕方の練習は午後6時スタート

 「単に“楽しむ”という意味ではない。ラグビーは痛いし、きついし、つらいスポーツ。それを乗り越えた先に勝利があり、ラグビーが楽しくなる。負けて楽しいことなんてない」

 真剣に取り組み、成果が出るから楽しく、面白くなる。困難を克服した経験は今後の人生にもつながるはず。そんな充実した学生時代を過ごしてほしいと願う。

 松本監督は福岡県北九州市出身。佐賀工で主将を務めた00年度に花園で準優勝。関東学院大で3年時は大学選手権制覇に貢献、主将を務めた4年時は同準優勝。卒業後はコカ・コーラウエスト(現レッドスパークス)でプレー。トップレベルでの経験を学生に注入している。34歳と若い指揮官の熱い思いは選手たちにも伝わった。いわゆる“体育会系”のイメージがここにはない。4年生を中心とした上級生が練習用具の準備などチームのために働き、下級生は個人練習に集中できる環境をつくる。

ナイター設備のある人工芝グラウンドで全体練習は夜8時半まで続く

 現在、チームには選手97人が所属する。九州で一番の大所帯をまとめるのは木下晋朗(ゆきと)主将(4年=経済学部)だ。大阪府枚方市出身の“関西人”ながら愚直とも表現すべき、真面目キャラ。ポジションは“縁の下の力持ち”的なFWでフランカーまたはロック。春日小時代に交野ラグビースクールで競技を始めた頃はトライを挙げて華があるバックスにも憧れた。今は「FWがいるからこそバックスが成り立つ」と誇りを持つ。自身の長所は「技術はなくてもアグレッシブにコンタクトしてチームに貢献する」と分析。松本監督が主将に指名した理由は「不器用だけど、チームのためにいちばん体を張る」というもので、本人の分析と合致する。木下は常翔啓光学園高3年だった14年1月にサニックスワールドユース交流大会予選会に出場した際にスカウトされた。練習に取り組む姿勢や自己犠牲の精神あふれるプレーぶりを評価されて感激。「今まで、そういう形で声をかけてもらったことがない。自分が必要とされる場所でやりたい」。すぐに九共大への進学を決めた。

笑顔で選手と肩を組む松本監督(中央)

 木下主将が憧れる4選手は理想のキャプテン像を示す顔ぶれだ。(1)金正奎(きん・しょうけい)は常翔啓光学園高で主将を務めた先輩で、日本代表に名を連ねるフランカー。「身長1メートル77と小柄でも体を張ってチームの要求に応える。欠かせない存在」(2)亀井亮依は常翔啓光学園高の先輩で、帝京大主将として16年度の大学選手権8連覇に貢献。「この人に付いていこうと思える。リーダーシップが凄い」(3)磯辺裕太は東海大主将として16年度の大学選手権準優勝。「面識はないけど、人数が多い部をまとめて試合でも常に第一線で体を張る」(4)黒木基博は九共大の2学年先輩。亀井亮依と似たイメージで「強制されているわけじゃないのに“やらなアカン”という気持ちにさせられる。プレーも器用」。木下主将は4選手に一歩でも近づこうと精進を誓う。「九共大も黒木さんをはじめ、見習うべき先輩がたくさんいる。高校までの自分なら、キャプテンを任せてもらう、立ち位置じゃなかった。いい環境でラグビーできている」。プレーで、背中で仲間を引っ張る決意だ。

 チームが掲げる目標は全国制覇。まず秋の九州リーグ制覇が使命となる。実り多き秋を迎えるため、鍛錬あるのみだ。

【バックス陣まとめるのはCTB中村】

木下主将(右)とCTB中村

 ≪持ち前のキック磨いて大学選手権目指す≫バックス陣をまとめるのはCTBの中村健人(けんと、4年=スポーツ学部)だ。福岡県北九州市出身で大里南小1年からヤングウェーブクラブで競技を始めた。「走ったり、蹴ったり、当たったり。ラグビーにはいろんな要素があって面白い」。他のスポーツにない魅力を感じ、はまった。

 九州国際大付高までポジションは司令塔のSOで、持ち味はキックだ。「高校時代に自分のキックが下手クソで負けた試合があって…」。以降は全体練習前後に個人的に20~30本のキックを日課とし、技術を磨いた。今では自分の武器と言えるまでに上達した。松本監督からも「プレーで引っ張っていくタイプ」と信頼されている。

 九共大に進学した理由は「地元で強くなっているチーム。ここで大学選手権に行きたい」。1年から試合出場し、自分の選択が間違いなかったと確信している。「夏の菅平合宿では強豪と対戦できる。他の大学に行ってたら出場機会も少なく、こんな経験はできなかったかも。コーチにも熱心に指導してもらい、絶対にうまくなっているし、ラグビー人生にプラスになっている」。最終学年で大学選手権出場を果たすべく毎日、汗を流す。

【CARE部がサポート】

上村(右から3人目)らケア部のメンバー

 ≪勉強の一環≫学生トレーナーはラグビー部ではなく、CARE(ケア)部からの派遣メンバーだ。上村光(2年)はスポーツ学部スポーツ学科でトレーナーとなるために勉強中。その一環で部活動を選んだ。CARE部からラグビー以外にも野球、ソフトボール、バスケットボールなど体育会各部に赴き、トレーニングやケガへの対処、体調管理などに関してサポートする。派遣先にラグビー部を選んだ理由は「テーピングを巻く箇所や回数が多いんです」。残念ながら、真面目で練習熱心な回答でした。ラガーマンにイケメンが多いからじゃなかったの?

【波多野総監督「社会に貢献できる人間づくり】

波多野総監督

 ≪1989年から指導≫部長も兼ねる波多野省三総監督(61)は1989年から九共大ラグビー部の指導に携わる。部は94年に九州学生リーグの2部昇格、00年に1部昇格を決めた。14年にはリーグ初優勝。90年の監督就任時は「弱小チームだった」と振り返るが、手塩にかけて現在の隆盛に導いた。

 たった一人で指導していた就任直後から、一歩引いた立場となった現在も試合には必ず顔を出すよう心がける。公式戦以外も合わせて年間60~70試合。40度の高熱が出たり、椎間板ヘルニアで動けない状況でも、あきれ顔の夫人に自家用車の運転を頼んで駆けつけた。預かった学生たちを我が子のように見守る。「文武両道が大事。学業も、おろそかにしてほしくない。ラグビーで飯を食えるのはほんの一握り。泥まみれになりながら心を合わせてチームのために戦う。ラグビーを通して社会に貢献できる人間をつくりたい」。この競技を通しての人間づくりに現在も取り組む。

[ 2017年5月25日 ]

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