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福工大ラグビー部

 【初の全国8強トライ 九州王者が校史に新たな歴史刻む】

 九州各県や山口の大学、高校の部活や注目選手を取り上げるスポニチキャンパス。今回は1965年(昭40)創部の福工大ラグビー部だ。22日にリーグ戦の6連覇を達成。11月12日の出場校決定戦(順位決定戦)に勝利すれば、第53回全国大学ラグビーフットボール選手権(11月27~17年1月9日)に6年連続25度目の出場となる。今年の目標である「全国8強」へ汗を流す選手たちの姿を追った。

初の全国8強入りへ燃える福工大ラグビー部

 九州では“無敵”と言っていい。22日にあった九州学生リーグ最終戦。福工大は6戦全勝で並んでいた九共大との頂上決戦に40―14で快勝。6連覇を達成した。1年生が主体のジュニア戦も22日に6連覇しており、層は厚い。宮浦成敏監督(51)は穏やかな笑みをたたえながら言った。「6連覇はうれしい。その半面(全国大学選手権の出場校を決める)代表決定戦もあるし、スイッチを入れてやりたい。ここを突破できれば(全国で)おもしろい結果を残せると思う」。鍛え上げた選手たちに大きな期待を寄せる。

 九州圏の大学では唯一という天然芝のグラウンドで部員73人が汗を流している。練習時間はわずか2時間程度だ。「長くやっても集中力が続かない」。短時間に集中し、いいイメージを脳と体にインプットする。それが“宮浦流”の指導方針。2人1組でのタックル、パスまわし、少人数でのゲーム形式、縦に100メートルある芝生ダッシュなどを繰り返す。

 チームは全国大学ラグビー選手権で初めての8強入りを目標に掲げる。選手たちは口をそろえて言う。「12月11日が勝負なんです」。この日は秩父宮ラグビー場で、8強入りを懸けた3回戦が実施される。全員が日付を頭に叩き込み、母校ラグビー部の歴史を塗り替えるイメージをつくる。  栄光への道のりは平たんではない。出場校決定戦(順位決定戦、11月12日・福岡大グラウンド)を制し、全国大会出場を決めても今季から5年ぶりにトーナメント形式になった大会の1回戦、2回戦を突破しなければならない。昨年まではステージ制で行われ、セカンドステージ突破をかけた法政大戦で31―66のダブルスコアで屈辱にまみれた。それでも主将のFL原田謙次(4年)は「チャンスはあったんです」と言う。中盤まで接戦に持ち込めた。終盤でリードを許した“差”とは何か。それを突き詰め、埋めるために今季は13年以来3年ぶりに各地へ遠征。5月に関東、6月に関西、8月に長野菅平合宿も敢行。関東、関西の有力チームと10試合を経験して秋に備えた。

チームを引っ張る原田主将(左)とトンガ人留学生ソセフォ・ファカタヴァー

 1年から全国選手権を経験している原田が手応えを感じている。「今年はFW全員が4年で経験がある。穴がなくて、どこからでも仕掛けられるし、総合力がある」。友人や学校関係者をはじめ周囲の期待の高さを感じている。「一生懸命やるだけ。意識高くやれています」と充実感が漂う。トンガからの留学生であるCTBソセフォ・ファカタヴァー(1年)にも注目が集まる。1メートル86、110キロの恵まれた体格の持ち主。目黒学院(東京)を経て入学し、すでに来日4年目。マグロの寿司が好物。「セフィ」の愛称でチームに溶け込んでおり「どんどんトライしていきたい」と貢献を誓う。宮浦監督も「突破力とスピードがある」とトライゲッターを高く評価する。

 遠征と試合で経験を積み、フィフティーンは自信を深めた。今年こそ大暴れを期待できそうだ。

 ▼全国大学ラグビーフットボール選手権大会 1964年(昭39)に始まった大学ラグビー日本一を決める大会。今季から5大会ぶりに予選リーグ制からトーナメント制に変更。全14チーム。九州勢は過去の優勝経験がない。

 ▽福岡工業大学 福岡市東区にある私立大学。1954年(昭29)に福岡高等無線電信学校として創設。63年に福岡電波学園電子工業大学工学部を開設。66年に現在の名称となる。工学部、情報工学部、社会環境学部がある。ラグビー部以外では野球部や吹奏楽団などが盛ん。主なOBは大阪府の松井一郎知事ら。

フィジカル向上へ筋トレを行う副主将の池松

 ≪鬼の副主将・池松 締まらぬ4年に喝≫笑顔が特徴的な副主将のFB池松佑眞(3年)はやっぱり九州の男だ。温厚で普段はめったに怒るタイプではない。一度だけ上級生を一喝したという。主将ら4年生の主力が不在だった練習での出来事。「最初から締まりがなくて。残りの4年生が特別に声を出すわけでもなかった。だから“4年、何しようとか。4年がせんなら3年がやれ”と言いました」。これで空気が一変し、活気を取り戻した。「コーチやチームメートの信頼を得てやっている。厳しく言った」。チームを思っての行動に上級生、下級生の区別なく、全員が納得していた。

 荒尾高(熊本)2年で全国大会に出場し、花園の土を踏んだ経験もある。現在はフィジカル向上に取り組む。またチームの全体練習終了後も、約30分はキックの精度向上に努める。「まだ波がありますから」。南アフリカ代表のFBウィリー・ルルー(キヤノン)に憧れる。「スルスルッと抜ける動きが好き」。相手のタックルを巧みにかわすステップを磨き、ルルーのような俊敏さで勝利を呼び込む。

選手兼マネジャーとして奮闘する金鎮仙

 ≪選手兼マネジャー・金鎮仙 縁の下の力持ち≫昨年12月から金鎮仙(キンジンソン)は選手兼任でマネジャー業も務める。チームは例年、夏に大分竹田で合宿を実施している。これに加え、今年は6年ぶりの長野菅平合宿を部員の総意として宮浦監督に提案した。金が日程調整など“縁の下の力持ち”として奔走。日頃は接する機会がない明大など関東の強豪チームと練習試合6試合を実現させた。  「今までは竹田合宿だけだったのが、九州内では圧倒しているのに全国で接戦になってしまう原因。部員の間でも、そういう認識があった。自分たちが大学選手権で対戦する相手と試合できたこと、チームの現状を知れたことが大きかった」  学校生活では整理整頓など細かい部分にも気を配る。「主将にはプレーで引っ張ってもらい、僕は裏方としてです」。これまで専任マネジャーを置かず、故障者が職務をこなすスタイルだった。1年生の頃から、さまざまなサポートを引き受けた金は選手兼任で大事な仕事を任された。「昨年はチームの経験値がなかった。今年は違うと思います」。躍進の手応えを感じている。


練習場のネットにはられている今季のスローガンの「HARD WORK」

 ≪HARD WORK自分に厳しく≫今年のチームスローガンは「HARD WORK」だ。4年生が中心になって考案した。原田主将は「どれだけ練習からハードワークして過去の歴史を上回れるか、自分に厳しくできるかが重要」と説明する。当初は続けて「for enjoy」の文言があった。厳しい試合の後にある楽しみのためにハードワークしよう!という趣旨だった。「いつの間にか消えて“ハードワーク”だけになったんですよ」と池松は苦笑いだった。

[ 2016年10月27日 ]

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