Go!アスリート 加藤条治
加藤 五百で世界新!W杯初勝利
出た、世界新!スピードスケートのW杯ソルトレークシティー大会(米国)は19日、室内リンク「五輪オーバル」で行われ、男子五百メートルで加藤条治(20=日本電産サンキョー)が34秒30の世界新記録をマークし、W杯初優勝を飾った。加藤は清水宏保(31=NEC)が01年3月に同リンクで出した従来の記録34秒32を0秒02更新。また、男子五千メートルではスベン・クラマー(19=オランダ)が6分8秒78の世界新で優勝した。
トリノ五輪の金メダル候補が、大本命に格上げされた瞬間だった。11歳年上の清水から、日本のエースの座を奪った瞬間とも言える。34秒30。「やっと時代を動かしたという感じ」。男子五百メートルで5シーズンぶりに誕生した世界新記録を電光掲示板で確認すると、大歓声の中、加藤は何度も両手を天高く突き上げた。
記録とともに衝撃的だったのが、最高速度に達して迎える最終カーブを、最短距離でスーッと抜けてきた場面だ。清水が世界記録を出した時にカーブの出口で隣のコースにはみ出すほど膨らんだのとは、まさに対照的だった。
「このままだと減速しちゃうと思ったので、カーブの真ん中あたりからガリガリいった」。100メートル通過は全体の5番目(9秒66)だったが、後半の400メートルに要した時間は出場選手中最少。ショートトラック育ちの加藤ならではのコーナーワークが、今までの日本人にはまねのできない後半追い上げ型のレースを可能にした。
清水がシーズン終盤の3月に出した記録を、調子がピークに達していない開幕直後のこの時期に塗り替えた点も特筆に値する。11月に男子五百メートルで世界新記録をマークしたのは、国際スケート連盟が世界記録を設定した1891年以降、加藤が初めて。“最速”だったダン・ジャンセン(米国)でさえ、世界新の喜びにひたったのは12月に入ってからだった。過去2度世界記録を樹立した“先輩”の鈴木強化部長は「これでシーズンが深まれば34秒の壁も突き破っちゃうんじゃないか」と早くも次の壁を突破する予感さえ抱いていた。
だが、今季の目標はあくまでもトリノ五輪の金メダル。「とりあえず今は後ろに差をつけてるかな」。追われる立場を襲う恐怖などどこ吹く風の様子で、20歳の王者はさわやかに笑った。1891年2月にスウェーデンのグルンデンが男子五百メートルで最初に世界記録をしるしてから114年。史上初めて世界記録保持者の中の“ミスター・ノーベンバー(11月)”となった加藤が、トリノの頂点に向けて突っ走っている。
◆加藤 条治(かとう・じょうじ)1985年(昭60)2月16日、山形市生まれの20歳。昨季の世界距離別選手権男子五百メートルで初優勝し、トリノ五輪代表に内定した。全日本距離別選手権は3連覇中。山形中央高3年の02〜03年シーズンに日本男子としては初めて高校生としてW杯代表に選ばれ、初の国際大会だった長野大会でいきなり3位の鮮烈デビュー。4人兄弟の末っ子として6歳からスケートを始め、高校総体の男子五百メートルを3連覇。日本電産サンキョー所属。1メートル64、61キロ。
≪清水「やっぱり悔しい」≫清水は5日前にブレードを替えたばかりのスケートで滑り、35秒06で11位。次の組で滑った加藤に4シーズン保持していた世界記録を0秒02塗り替えられた。「全日本距離別選手権の滑りなら(世界新が)出ると思っていた。やっぱり悔しい」と複雑な表情だった。
加藤の好調ぶりとは対照的に、長らく日本男子短距離界を引っ張ってきた31歳の調子はなかなか上がってこない。最初の100メートル通過は9秒75と、持ち味の爆発的なスタートは不発だった。
トリノ五輪代表に内定しているが、現在の状態を「6割ぐらい。全然駄目。カーブがどうとか言う以前に、体の動きの問題」と淡々と分析。「完全に追う立場」と自覚はしているものの、4度目の五輪となるトリノまで残された時間はそれほど多くはない。
≪ライバル強気≫トリノ五輪で金メダルを狙う日本勢にとって最大のライバルになるとみられるウォザースプーン(カナダ)は、加藤の世界新に「かなり速いけど、超えられないタイムじゃない」とライバル心を燃やした。自身は34秒62の3位だったが、まだトリノ五輪に向けた調整段階だと強調。「僕もそうだけど、加藤が五輪に向けてどう仕上げてくるかが楽しみだね」と来年2月の勝負を見据えた。
[ 2005年11月21日 19:08]
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