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義足で突っ走るボルト超え!国内メーカー リオで試金石

[ 2016年8月26日 05:30 ]

 2020年東京パラリンピック開幕まで4年となった25日、東京都庁などでカウントダウンイベントが行われた。五輪と同じように盛り上がりが図られていく中、本番の陸上100メートルで「五輪王者超え」を目指す国内の義足メーカーがある。義足を提供した選手はリオ大会(来月7日開幕)にも出場。4年後の“世界最速スプリンター”誕生に向けた試金石となる。

 「2020年東京パラリンピックで義足のアスリートが五輪王者より速く走る」を目標に開発を続けているのが東京・原宿に本社を置く義足メーカー「Xiborg(サイボーグ)」。遠藤謙社長(38)はリオ五輪男子100メートルで優勝したウサイン・ボルト(ジャマイカ)のタイムが9秒81だったことを引き合いに「ボルトが出ない4年後の東京五輪は9秒8ぐらいが優勝タイムになるんじゃないか。障がい者がその記録を超える事実が起こったらいいと思っている」と話す。

 遠藤氏は、高校の後輩が足を切断したことがきっかけで義足開発を志した。元陸上男子400メートルハードル日本代表の為末大氏(38)と一緒に14年に起業した当初から目標は変わっていない。根幹には「障がいをテクノロジーで補えることができれば彼らへの偏見がなくなるんじゃないか」という思いがある。人々の障がい者に対する見方を変えるための起爆剤として4年後を見据えている。

 開発した義足を初めて送り出すのがリオ大会。片足に障がいのあるT44クラスの陸上男子100メートルと4×100メートルリレーに出場する佐藤圭太(25=トヨタ自動車)がつける義足は東レなど4社共同で開発。カーボン繊維強化プラスチック製で、選手の走り方に合わせた形状や硬さを実現した。佐藤は5月に11秒82の日本新記録を樹立するなど好調を維持。遠藤氏は「いまはスタートを変更しどんどん速くなっている。本番では11秒5台が見たい」と期待を寄せる。

 障がい者スポーツは技術革新が起き、競技レベルが飛躍的に上がっている最中。義足ランナーの最速記録はアラン・オリベイラ(ブラジル)の10秒57だが、ボルトを超える日はそう遠くないかもしれない。

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2016年8月26日のニュース