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【世界のアスリート】3度目金を支えた英雄「楽しい旅だった」

[ 2016年8月23日 12:10 ]

豪快にダンクシュートを決めるアンソニー(AP)

リオデジャネイロ五輪バスケットボール・男子決勝 米国96―66セルビア

(8月21日 カリオカアリーナ)
 バスケットボール男女の米国代表は豪華客船に宿泊。そこからカーメロ・アンソニー(32=ニックス)はリオデジャネイロのスラム街に足を運んでいた。「みんなが危険だ、身の毛がよだつと呼んでいた場所に行ってみたよ。実に心地よかったね」。世界有数の犯罪多発地域。しかしアンソニーは路上に椅子を置き、そこに座っている自分の姿を撮影してインスタグラムに投稿した。

 サッカー女子の米国代表GK、ホープ・ソロ(35)がジカ熱対策のために防虫ネットなどを準備している写真を投稿したあと、ブラジル国民による米国代表へのブーイングが各所で多発。しかしアンソニーの写真が公表されると、この騒動は下火になった。

 決勝でセルビアを下して優勝。男子の米国代表として最多となる4度目の五輪となったアンソニーは、世界の男子バスケットボール界では初となる3個目の金メダルを獲得した。NBAではナゲッツ時代を含めて一度も優勝経験がないが、国際大会では抜群の実績。今五輪では8試合全てに先発して平均12・1得点をマークし、代表最多得点記録も更新した。

 06年に日本で開催された世界選手権。準決勝でギリシャに敗れた時、言い訳をせずに敗因を述べた唯一の選手がアンソニーだった。今回、もし負けていれば国際経験が浅い他の選手たちは対応できなかっただろう。だからこそ彼が代表に選ばれていたとも言える。
 「楽しい旅だった。負けた試合も勝った試合も全部、人生の財産になった」。NBAでは無冠だが五輪ではブラジル国民の心まで捉えた陰のヒーロー。アンソニーはこの日、笑顔とともに12年間に及んだ代表生活にピリオドを打った。

 ◆カーメロ・アンソニー 1984年5月29日、ニューヨーク州出身の32歳。シラキュース大から03年のNBAドラフト全体3番目にナゲッツに指名された。球宴出場9回。2メートル3、109キロのフォワード。今季年俸は2456万ドル(約24億8000万円)。五輪は3位だったアテネ大会を含めて4回目の出場。

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2016年8月23日のニュース