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競歩銅・荒井の姉貴分も大喜び 元女王で現在老舗旅館女将

[ 2016年8月21日 05:30 ]

 リオ五輪陸上男子50キロ競歩で銅メダルに輝いた荒井広宙(28)は一時、石川県・粟津温泉のホテルに所属し、練習を積んでいた。同県は知る人ぞ知る“競歩王国”。同温泉の旅館では、元五輪代表で日本記録保持者の喜多(旧姓川崎)真裕美さん(36)が女将を務めている。喜多さんは弟分の快挙に大喜びした。

 進路妨害で一度は取り消された後輩の銅メダル。だが必ず戻ってくると信じていた。喜多さんは「心配はしましたが、女将の仕事は朝が早い。テレビ中継が終わると、すぐ寝ました。荒井くんは優しい性格で、フェアに戦う子。きっと正しいジャッジが下ると思っていた」と話した。起床後、結果を確認。「銅メダルが確定していて、うれしかった」と声を弾ませた。

 競歩でアテネ、北京、ロンドンと3大会連続五輪出場。ロンドン後の2012年秋に引退し、石川県・粟津温泉の老舗旅館「喜多八」3代目重光さん(39)と結婚。“日本一速く歩く女将”になった。

 荒井は現役時代、合同合宿などで何度も顔を合わせた「かわいい弟のような存在」。荒井は大学卒業後、13年4月までは喜多八から約800メートルの距離にある亀の井ホテル(現ホテルAZ)に所属。わずか3カ月程度だが、地元の同業者としての付き合いもあった。「いじられキャラだけど、頼れるところもある。機械に強く、パソコンの設定をしてもらうなど助けてもらった」と振り返る。

 “弟”の晴れ舞台は自宅のテレビで見守った。「ダンフィー選手との競り合いはドキドキした。荒井くんに“今から気を送るよ”とLINEでメッセージを送りました。もちろんレースが終わるまで、見ることはできないんですけどね」と笑った。

 競歩王国の石川県。五輪選手を輩出し、輪島市では日本選手権大会50キロ競歩、能美市では全日本競歩能美大会が毎年開催されている。荒井は13年に自衛隊体育学校に移籍した後も同県を訪れ、喜多八を利用することもある。6月にも訪ねてきて、喜多さんはフルーツゼリーなどの差し入れをした。

 「銅メダルを獲ったし、今まで以上におもてなししてあげないといけませんね。一番スペシャルな部屋でサービスしてあげなければ」と再会が待ち遠しそう。荒井だけでなく日本競歩界の成長をたたえ「みんな成長株だから、4年後が楽しみです」と、東京五輪でさらなる活躍を期待した。

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2016年8月21日のニュース