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タカマツ歴史的大逆転で金!「世界一の連係」バドガール黄金時代

[ 2016年8月20日 05:30 ]

リオ五輪 女子ダブルス決勝 勝利を決めて倒れこむ高橋(下)とジャンプして喜ぶ松友(AP)

リオデジャネイロ五輪・バドミントン 女子ダブルス 決勝

(8月18日)
 結成10年目のタカマツが、日本バドミントン界の夢をかなえた。女子ダブルス決勝で、世界ランキング1位の高橋礼華(26)松友美佐紀(24=ともに日本ユニシス)組が、同6位でデンマークのリターユヒル、ペデルセン組に2―1で勝利。第3ゲームは16―19と追い込まれながら、怒とうの5連続得点で大逆転。92年バルセロナ五輪で正式競技に採用されてから24年、ついに日本勢が世界の頂に立った。

 プレー中はコンビネーション抜群だった2人の動きが初めてズレた。金メダルが決まった瞬間、高橋は殊勲の汗が光るコートに倒れ込んで号泣し、松友は最高の笑みを浮かべて、その場にしゃがみ込んだ。そして、表彰式で2人の動きは再びシンクロする。君が代が流れ日の丸が高々と揚がるとそろって涙を拭いた。

 高橋「ホントに一番になったんだなって。バドミントン界で君が代が流れるのは凄いことだなって」

 松友「バドミントン会場で君が代が聴ける日が来ると思っていなかった」

 体操男子個人総合の内村、レスリング女子の伊調、登坂ら、今大会の日本の代名詞とも言える逆転劇をタカマツが再現。最終第3ゲームは16―19。あと2点で敗戦の状況に追い込まれた。「負けちゃう」と思った高橋だが、残り3秒で逆転した伊調の姿が脳裏に浮かんだ。

 高橋「伊調さんの試合を思い出して、逆転もあり得るなと思った」

 高橋が聖ウルスラ学院英智高2年、松友が1年の07年6月にペアを結成して10年目。強気の先輩。冷静で緻密な後輩。互いを信頼して逆境からポイントを重ね、圧巻の5連続得点で押し切った。

 高橋は根っからの負けず嫌いだ。奈良県橿原市出身。小学生時代から全国レベルの選手で、6年生の秋に両親に土下座して強豪の聖ウルスラ学院英智中への入学を訴え、親元を離れた。中学時代はケガに苦しみ、練習もままならなかったが、帰省しても泣き言を漏らさず、仙台に戻る夜行バスで1人泣いた。高校3年のインターハイでは足を故障したが、引きずりながらダブルスで優勝した。その勝ち気を最大限に生かすのが松友だ。「先輩を含めコート上にいる3人を全部コントロールしたい」。ラケットを軽量化して操作性を高め、高橋の強打を生かす展開に持ち込み、最後のスマッシュを呼び込んだ。

 高橋「実力は世界一じゃないかもしれないけど、コンビネーションは世界一。それを出せれば負けない」

 松友「先輩とでなければ、この舞台に立っていない。世界で勝ちたい目標を持ち続けて頑張ってきて良かった」

 オグシオ、スエマエ、フジカキ。世界と戦う先人を追い掛け、そして、頂点に立った。20年東京五輪では高橋が30歳、松友は28歳になる。

 高橋「東京五輪に出ている自分は想像している」

 松友「試合内容に満足していないので、このままやると思う。もっと強くなりたい」

 4年後、ペア結成から14年目の夏。五輪連覇へ進撃するタカマツのコンビネーションが再びニッポンを熱くする。

 ◆高橋 礼華(たかはし・あやか)1990年(平2)4月19日、奈良県生まれの26歳。宮城・聖ウルスラ学院英智中―同高卒。09年日本ユニシス入社。1メートル65、60キロ。

 ◆松友 美佐紀(まつとも・みさき)1992年(平4)2月8日、徳島県生まれの24歳。徳島中―宮城・聖ウルスラ学院英智高卒。10年日本ユニシス入社。1メートル59、50キロ。

 ▼タカマツの世界ランク変遷 09年10月に49位でランクインし、12年10月にトップテン入り。14年10月に全種目を通じて日本勢初の1位となり、その後は1~4位を変動。16年3月から1位をキープ

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