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伊藤美誠 型破り15歳が攻めた!五輪卓球最年少メダリストに

[ 2016年8月18日 05:30 ]

<リオ五輪 卓球> 銅メダルを決めて笑顔の伊藤

リオデジャネイロ五輪・卓球

 底知れぬ15歳だ。2―1で王手をかけていた準決勝4戦目で、伊藤がロンドン五輪個人銅メダルのフェン・ティアンウェイを手玉に取り、3―0の圧勝で勝利を決めた。

 「最後は笑顔で終わろうと心掛けました。ドイツに負けた悔しさを3位決定戦にぶつけたいと思っていました」

 練習拠点・関西アカデミー(大阪市)代表の大内征夫さん(74)は「日本人は画一的な選手が多い。だから中国人もやりやすい。だけど美誠(伊藤)には型がない」と評する。今大会のシングルスを制した丁(テイ)寧(ネイ)(中国)にも4月のリオ五輪アジア最終予選で勝った。練習も型破りでメニューを自分の思い通りに変えたかと思うと、激しい喜怒哀楽で「ヒャヒャヒャヒャ」と笑い声を響かせる。大内さんは初対面を思い出し「なんやコイツと思いました」と苦笑いする。

 母・美乃りさんの英才教育で、小学校から全国に名前が知れ渡った。しかし、有名中学から勧誘はなかった。理由は自由過ぎるからだ。フォームを固めるためのラリーの練習でも、常に実戦を意識する伊藤はひらめいたままに打って相手を困らせた。「ちゃんと教育した方がいい」。出稽古から戻った母の元に抗議の電話が入ったのは一度や二度ではなかった。

 現在は練習メニューを松崎太佑コーチ(32)と考えている。どんな相手にも対応する変幻自在の卓球を求めて。名門校に進まず、独力で腕を磨く伊藤は今の環境を楽しんでいる。

 「チームに入れば、そのチームの指導者の卓球に染まるでしょ?私は自分の卓球がしたい」

 リオでは卓球で五輪最年少(15歳300日)メダリストになった。20年東京五輪では「このメダル以上が獲れたらいいな」と個人と団体で金メダルを目指す。学校を飛び出した異端児が、4年後に日本勢の夢を背負う。

 ◆伊藤が15歳300日で銅メダルを獲得。04年アテネ五輪ダブルス(現在は非種目)で銅メダルを獲得した郭(カク)躍(ヤク)(中国)の16歳34日を更新。

 ◆伊藤美誠の世界ランク変遷 10年9月に484位で初ランクインし、13年7月に97位で初のトップ100入り。14年7月に50位となり、昨年6月に自己最高の9位に上昇。現在も9位をキープしている

 ◆伊藤の母・美乃りさんの美誠養育アラカルト

 ☆巨人の星式スパルタ教育 体と脳に打ち方を覚え込ませるためにと、少なくとも4歳の頃には1日6、7時間の練習。美誠の祖父母は「ここまでするのか」と悲痛な叫びも。リビングに卓球台を置いたため、その上で食事をすることも。

 ☆ひらめいたら、すぐ行動 練習を思いつけば夜中でも実践。午後11時に美誠を起こして練習させたことも。“睡眠トレ”として「中国に勝つのは美誠よ。金メダリストになるのよ」と寝ている娘に話しかけていたのは小学校高学年になるまでの日課だった。

 ☆五感トレ 目をつぶって打球の音だけで、ボールの行方を判断。順回転なのか、逆回転なのか、音の違いを感じさせた。落下地点も耳で推測をさせた。

 ☆おなかの中から英才教育 世界の名選手を収めたビデオを見て、それをおなかの中にいる美誠に実況中継。中が空洞になったチューブのようなもので口と腹部をつないで、それを通して話しかけた。

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