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グレコ井上 メダルまであと一歩…支えた妻に「ありがとう」

[ 2016年8月18日 05:30 ]

3位決定戦でジョージアのボルクバゼに敗れた井上

リオデジャネイロ五輪レスリング・グレコローマン男子66kg級3位決定戦

(8月16日 カリオカアリーナ)
 レスリングのグレコローマン男子66キロ級で、井上智裕(29=三恵海運)は惜しくもメダルに届かなかった。初戦の2回戦で敗れ、敗者復活戦では昨年の世界王者を破って金星を奪取。しかし3位決定戦でシュマギ・ボルクバゼ(ジョージア)に0―1で競り負けて5位に終わった。

 外国人の観客が日の丸を持って応援してくれた。3位決定戦で場内を包んだ歓声と雰囲気。「他の国際大会にはない応援があって五輪は凄いなと思った」。求めてきた夢舞台で全力を出し切った井上は「ずっとリオのためにやってきてここで100%を出せた」と満足そうに振り返った。

 2回戦は14年世界王者のステファネク(セルビア)に何もできないままテクニカルフォール負け。「これで終わったら周りの人に申し訳ない」。ステファネクの決勝進出で巡ってきた敗者復活戦にその思いをぶつけた。昨年の世界王者のシュテプラー(ドイツ)から終了間際にバックポイントを挙げて逆転勝ち。王者に敗れ、王者に勝ち、メダルまであと一歩に迫った。しかし「試合間隔が短くて体力面の課題が出た」と3位決定戦では体力勝負の終盤に力負け。罰則により失った1点を取り戻すことができずに終わった。

 ロンドン五輪出場を逃して一度は引退を決意した。しかし最後の試合と位置付けた12年全日本選手権の74キロ級で優勝したことで思いとどまった。「独り身ならわがままを突き通せるけど、妻もいて簡単に続けるとは言えない。妻が背中を押してくれた」。最後は妻の裕美さん(30)が背中を押してくれた。兵庫県内の高校教員をやめ、母校の日体大に拠点を置いて再出発。栄養士と相談しながら、10キロ近い減量を支えてくれたのも妻だった。試合前、敗者復活戦の前にも日本から激励のメールが届いた。「メダルを獲って恩返ししたかったが、ありがとうと伝えたい」。戦い終えて、井上の胸には感謝の思いが残った。

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