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五輪の重圧か…守りから入った永瀬 体を動かす“気持ち”足りなかった

[ 2016年8月10日 08:04 ]

準々決勝で有効のポイントを奪われる永瀬

リオデジャネイロ五輪・柔道男子81キロ級

(8月9日)
 【金野潤の目】男子の永瀬は初戦から硬さが見られ、自分の柔道ができないまま準々決勝で敗れてしまった。敗戦後の2試合は、本来の姿に戻って危なげなく銅メダルを獲っただけに、残念だった。

 永瀬は足を使って相手を動かしながら、上半身と下半身を連動させて相手を崩すのが持ち味。それが、初戦から守りから試合に入った印象で、腰が引けて間合いが遠くなり、攻められなかった。

 敗れたトマ戦は、最後まで淡々と相手ペースで試合をしてしまった。受け(守り)が強い永瀬だが、気持ちが前に出ていない分、相手の攻撃を防ぎきれず、袖釣り込み腰で有効を奪われた。しかも、その後も勝負に出なかった。緊張や重圧という言葉で片付けてはいけないが、体を動かすのは気持ちだとすれば、金メダルを獲るための勝負に出る度胸も足りなかった。

 決勝の顔合わせでもおかしくなかったチリキシビリとの3位決定戦は、本来の柔道を取り戻し、全く危なげなく勝って銅メダルを決めた。敗れて吹っ切れた後の柔道を最初からできていれば、十分に金メダルを獲れていただけに、悔しさが残る結果となった。 (94、97年全日本選手権王者、日大男子監督、文理学部准教授)

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